第25節・森の修練場


 貴賓室の中、ミリとユキノに挟まれた形で私たちは正座していた。

部屋は重苦しい空気に包まれ、ヘンリーが哀れみとあと少しだけ面白そうな視線で私たちを見ている。


「あの、言い訳させて下さい……」


 ロイが恐る恐る手を上げるとユキノが「許可します」と冷たい視線を送りながら言う。


「事故なんです!!」


 ロイの言葉に私も首を思いっきり縦に振った。

そう、あれは事故なのだ。

決してやましいことはしていない。

そうだ、やましいことをしていないのであれば堂々としていればいいのだ!


「何をドヤ顔してますかこの子は。つまりあれですか? リーシェ様が男湯なのに間違えて突入した挙句、びっくりして思わず浴槽に飛び込んだと?」


「━━━━はい」


 ユキノが信じられないものを見たという表情で私を見てくる。

ああ、はい。

それはとても普通の反応です。

私自身なんであんなことしたんだろうかと驚いているので。


「はぁ……。なんか頭痛くなってきた。で? どうすんの? これ、ルナミア様に報告するの?」


 ミリの言葉にロイが顔を青ざめながら口をパクパクとさせる。

私も本能からそれはヤバいという危険を感じた。


「……まあ、本当に不慮の事故のようですし、お二人には再発しないように厳重注意ということで」


 ユキノが呆れたようにそう言うと「リーシェ様、少し此方へ」と引っ張られ、ミリと一緒に部屋の隅に連れていかれる。

そしてユキノは小声でこう言ってきた。


「本当に何もされて、していないんですよね?」


「うん、何も」


「触れられたりとか、触れようとしたりとか。そう言うのも無かったのですか?」


「それもない。その、ロイは私の方を見ないようにしてくれたから……」


「洗いっこ、とか無かったのよね!?」


「…………」


「…………」


 ユキノと一緒に”何言ってるんだこいつ”という顔でミリを見ると彼女は顔を真っ赤にし「今の忘れて!」と慌てて首を横に振った。


「……ミリ様の頭がおかしい発言は兎も角として。同年代の、若い娘と混浴して一切手を出そうとしないとは……。ロイ様は鋼の精神を持っているのか、それとも男としての機能が……、いえ、これはロイ様の名誉に関わりますね」


 後ろから「おい! 聞こえているぞ!」と言うロイの抗議の声が聞こえてきた。


「はぁ……。まあ本当に何事も無くてよかったです。万が一旅先で男女の関係になりましたなんてルナミア様に報告したら私たち全員吊るされていたかもしれませんね」


 ユキノがミリの方を見ると彼女はやや困ったような顔をしたまま頷く。

そんな彼女をユキノは半目で見ると「本当に、何事も無くてよかったですね」と言った。


「ど、どういう意味よ」


「いえ、別に。私はこの件に関しては”中立”の立場を取らせていただきます」


 ユキノの返事にミリはバツが悪そうな顔をした。

いったいどういう意味だろうか?

私はユキノたちの会話の意味が良く分からず首を傾げるとヘンリーが「さて、裁判は終わりましたかな?」と手を叩いて注目を集めた。


「ではそろそろ本題に入りましょう。今日の御前試合に誰が出るか、ですが……。まあ昨日も言った通り私はパスで」


 私も出場は出来ない。

そうなると残っているのはロイ、ユキノ、ミリの三人だ。

だがミリが「私もパス」と手を上げてため息を吐く。


「流石に御前試合にハーフエルフの身で出ようとは思えないわ。多分、周囲の視線で心折れると思う」


 ミリは「ごめん」と本当に申し訳なさそうに眉を顰めるが私たちはそれに頷いた。

ハーフエルフへの風当たりの強さは既に思い知っている。

ミリに沢山のエルフたちの前に出ろと言うのは酷なことだろう。

彼女が出ないとなると残るはロイとユキノだ。


「……では御前試合にはロイ様に出ていただいてよろしいでしょうか? 御前試合は己の武を証明する由緒正しき試合。私の戦い方は搦め手のため試合にそぐわない可能性があります」


 正々堂々と戦い、実力を証明するのならば自由騎士のロイの方がいい。

ユキノはそう判断した。

ロイも「分かった。それで構わない」と言うと拳を強く握りしめる。


「リーシェの命に係わるんだ。どんな奴が相手だろうと正面から叩きのめしてやるさ」


「その意気ですぞ。我々も全力で応援しましょう」


 私たちは頷き合うと御前試合に向けた準備を始める。

そしてそれから数十分後、エリが貴賓室にやってきて私たちは御前試合が行われる修練場へと案内されるのであった。


※※※


 修練場は城の西側にある円形の建物であった。

アルヴィリアにもあるコロシアムに似た建造物であり、中に入って気が付いたがこの修練場も大木に造られたものだ。

折れた大木の幹を利用した修練場には既に多くのエルフたちが集まっており、彼らは私たちの姿に気が付くと好奇心と侮蔑の視線を送ってきている。


 なるほど、完全にアウェイだ。

こんな視線の中でロイは戦わなければいけないのか……。


「ロイ、大丈夫?」


 私はそうロイに声を掛けると彼は口元に笑みを浮かべて首を縦に振った。


「ああ。むしろ気が引き締まって良い感じだ」


 多くのエルフたちから敵意に近い視線を送られているにもかかわらずロイは落ち着いている。

彼がこうやって堂々としているのだ。

私も変な心配をせず、彼を信じなくては。


「……では出場者の方は待機室で武具をお受け取り下さい。残りの方々は私と共に観客室へ」


 エリが修練場内にある大扉を指さすと私たちはロイと分かれる。

ロイが修練場にいた案内係の衛兵と共に大扉の中に消えるのを見届けるとエリが観覧室への案内を始めた。


 階段を上り、一般市民用の観覧室よりも更に上に行くと綺麗な紋様が描かれた扉が見えてくる。


 扉の前には金の鎧を着たエルフの兵士たちがおり、彼らは私たちの姿を見ると一礼をしてから扉を開く。


「では、私はここで。くれぐれも女王陛下に無礼をならさらぬよう」


 エリはそう言うと去って行き、私たちは観覧室に入る。

そこは王族用の観覧室であり部屋には紅い絨毯が敷かれ、幾つもの上等な椅子が設置されている。


 中央の席にレン女王が既に座っており、その背後にはジルが控えていた。

私たちは彼女に会釈をすると修練場を見ようと端に移動する。


「これは……人選を間違えたかもしれませんね……」


 ユキノは修練場を見下ろしてそう呟く。


 修練場は宙に浮いていた。

二つの大きな円形の柱で出来た足場と幾つかの小さな足場。

そしてそれらを繋ぐ木の枝のような足場がある。


 森だ。

この修練場は木々の上で戦うエルフのための修練場なのだ。

先入観で普通の闘技場のような場所を想像してしまっていた。

このように足場の悪い場所で戦うのであればユキノかミリの方が良かったかもしれない。


「今から変えられないですよね?」


 椅子に座っているレン女王にそう訊ねると「待機室に入ってしまったのなら無理です」と答えた。


「まあ今更騒いでも仕方ありません。むしろ我々にとって都合が良いと考えましょう。エルフにとって地の利がある状況でロイ坊ちゃんが勝てば皆、彼を認めるでしょう」


「そりゃ、そうかもしれないけど……。足滑らせて落ちないでしょうね、アイツ」


 私ならやるかもしれない。

そんなことを考えているとレン女王は「さあ、皆さんも座って下さい」と私たちを促し、私たちは近くの椅子に座った。


 私はレン女王の隣座り、女王は「あ、飲み物要ります?」と聞いて来た。


「あ、はい。お酒じゃないやつで……」


 そう言うとレン女王は後ろに控えていた従者に全員分の飲み物を持ってくるように指示を出す。

彼女の長い耳がピクピクと小刻みに揺れているのを見て思わず「楽しんでます?」と訊ねてしまった。


「あらやだ。顔に出ていました? 女王と言うのは結構窮屈な身で、御前試合のようなイベントは良い息抜きになっているのです」


 女王の息抜きついでの我が魂。

そんなことを思いつつ修練場の方を見た。


 修練場の観客席は満席状態であり、立ち見をしようとしているエルフたちもいた。

この国の全てのエルフが集まっているのではないかと思わず驚いてしまう。


「この国のエルフは自ら停滞の道を選びました。穏やかな水面は美しいものですが同時に味気ないもの。彼らもまたわたくしと同じように刺激を求めているのです」


 「まったく、身勝手な考え方ですよね」とレン女王は苦笑する。


「ミリさん、外の世界は楽しいですか?」


「……そりゃあ、まあ、楽しいと言えば楽しいです……ね。でも楽しい分、危なかったり苦しかったりすることがある」


「それらを全て併せ持つことこそ人の生。この国は美しく平和だと自信を持って言えますが、同時に歪なのでしょうね」


 レン女王は目を細め、どこか遠くを見る。

永き時を生き、時の止まった国の女王は何を思い、何を考えているのか。

私は物憂げな女王の横顔を見ながら女王の従者が持ってきた果汁の飲み物を受け取るのであった。


※※※


 待機室でロイはベンチに腰掛け、ゆっくりと深呼吸をする。

武具は全てエルフラント側が用意してくれた。

鎧も盾も自分に合うものを選んでくれ問題はない。


(よし……! いけるな!!)


 緊張はある。

だがそれ以上に高揚しているのだ。


 昔読んだ物語の中で英雄がまだ無名だったころに国王が開いた闘技大会に出場して優勝し、英雄への道を歩み始めるというものがあった。

子供のころにその英雄に憧れたのだが、まさか自分が本当に闘技大会に出場することになるとは思いもしなかった。


「エドガーの奴、羨むだろうな」


 コーンゴルドに戻ったら自慢してやろう。

俺はエルフの国に行って、そこで御前試合に出たぞ。

勝ったぞ、と。


 そう、勝つのだ。

リーシェの為に絶対に負けられない。

どんな奴が相手でも勝ってみせる。


 修練場の方から角笛の音が聞こえてきた。

あれは出場の合図だ。


「行くぞ!」


 気合を入れ、近くに置いてあった剣を手に取る。

剣は刃を潰して殺傷力を減らしたものだがそれでも鉄の塊だ。

当たりどころが悪ければ相手を殺すだろう。


(いや、そんなことを考えている場合じゃないか)


 エルフラント側は国一番の戦士をぶつけてくるはずだ。

そんな存在を相手に殺さないようになどという甘ったれた考えでは勝てないだろう。


 剣をソードベルトに提げ、柄を力強く握りしめる。


「?」


 何か違和感を感じたような気がした。

だが修練場の角笛と観客たちの声に後押され違和感を忘れて待機室から修練場に出る。


「……なるほど。そりゃ、エルフの国だもんな」


 修練場に出てすぐに自分が不利であることを再認識させられた。


 戦場は大小の柱で構成された足場の悪いところだ。

身軽なエルフなら兎も角、人間である自分は足場から足場に移るのも大変だろう。

更に外野からの圧があった。

敵意に近い観客たちの視線。

彼らの声を聞かなくても分かる。


『負けろ、負けちまえ、この異邦人』


 とんでもないアウェイだ。

気の弱い奴なら足が竦んでしまうだろう。


(気を静めろ。周りに惑わされるな……)


 昔ウェエルナ―卿が言った。

戦場での死因の一つが恐怖だと。

奇襲を受けた時。

劣勢の時。

どんな腕の立つ人間も動揺し怯えればそれが隙となり容易く討たれてしまうと。


 外野からの視線や声をシャットアウトし、ただ一点、対戦相手の方を見る。


「……奴か」


 反対側の足場にいる対戦相手。

それは守人のガイであった。


 彼の手には二対の剣が握られており、余裕の笑みをこちらに向けている。


 此方も剣を鞘から抜き出し、しっかりと柄を握るのと同時にレン女王の声が修練場に響き渡る。


「皆さんも知っての通り、数十年ぶりにこのエルフラント神聖国に外界の者が訪れました。神託の通りならば彼はこの国に新しき風を呼び込む者。故にその力を試させていただきます」


 観客席からブーイングが聞こえ始めたがジルの一喝で静まり返る。


「ガイ・ガ・ガレ、エルフラント神聖国一の守人よ。エルフの誇りに恥じぬ戦いをしなさい」


「は!」


「異邦の騎士ロイよ。この試合でその力を我らに証明しなさい」


 観覧室の方に深々と頭を下げ、それからガイの方を向く。

彼は相変わらず不敵な笑みを浮かべているが鋭い闘志が此方まで伝わってくる。

ガイの敵意で気を引き締め睨み返す。


「ほう! 悪くない目だ! だが気合いだけで勝てるかな!」


「そっちこそ慢心して足を滑らせるなよ!」


 ガイが「ぬかせ!」と言うと彼の闘志がさらに膨れ上がった。


 一触即発。

今にも互いに飛び掛かりそうな中、レン女王に代わりジルが言葉を発する。


「足場より落下するか両膝を着いた者を敗者とする!! 両人、よろしいか!!」


 ジルの言葉に頷いた。

ゆっくりと身構え、合図を待つ。


「これより特別御前試合を開始する。━━始めっ!!」


 ジルの合図と同時に動き始めるのであった。


※※※


「……速い!!」


 試合が始まるのと同時にそう思った。


 ガイは足場を軽々と渡っていきあっと言う間に此方に迫ってきている。

躊躇いのない踏み込みで彼は此方を己の間合いに入れ、右手の剣を一直線に放ってくる。

それを顔を逸らして避けるとガイは腰を捻り、左手の剣を横に薙いできた。


「!!」


 敵の斬撃を盾で受け、弾く。

そしてそのまま前蹴りを放つが敵は即座に後ろに飛び退いて此方から距離を取った。


 そしてお互いに背や側面を向けないように向かい合って円を描きながら動く。

(来る……!)


 ガイが再び踏み込んできた。

それを横薙ぎの斬撃で迎撃するが彼は身体を後ろへ仰け反らせて回避するとそのままサマーソルトキックを放ってきた。


 此方も上体を逸らしどうにか蹴りを避け、鼻先を敵のつま先が掠める。


 ガイはそのままバク転をし、着地と同時に再度此方に向かって飛び込んでくると二対の剣による連続斬撃を叩き込もうとしてきた。

敵の剣の軌道を冷静に把握し、剣と盾でどうにか受けていく。

敵の斬撃は速い。

だが高速の攻撃は単調になりがちだ。

故に速さに惑わされず、落ち着いて敵の軌道を読み切れば……。


「ここだ!」


 ガイの左手の剣を盾で弾き、彼の体勢を崩す。

その瞬間に剣で突きを放つとガイは舌打ちしながら右手の剣で此方の剣を受け流した。

剣同士がぶつかり火花が散る。

そのままつば競り合いに持ち込もうとしたが敵はそれを避け此方から距離を再び取った。


「……成程。かなりできるようだな。人間の騎士」


「そっちもな。口だけ野郎じゃないようだ」


「当然だ。己の力に自信が無ければ女王陛下の御前試合には出ない」


 ガイが二対の剣を自分の前でクロスさせて構える。

それに対してこちらも盾と剣を構えて様子を伺った。

お互いに小刻みに動き、相手を牽制する。


 動いた。


 ガイが右に跳ぶ動作を見せ……左に跳んだ。


(フェイントか!!)


 すぐに盾で己の左側面を守る。

するとガイは右手の剣をこちらに向かって投げつけてきた。


「……な!?」


 投げ槍ならぬ投げ剣を盾で弾くがその隙にガイは此方の懐まで飛び込んでくる。

そして腕を伸ばして肩を掴むと足払いを行いそのまま此方を投げ飛ばした。


(……まずい!?)


 御前試合の敗北条件は両膝を着くか足場から落下することだ。

このまま落下し、もし両膝を着いてしまったら負けになってしまう。

そう判断すると咄嗟に空中で受け身を取り、背中から足場に落ちた。

そのまま転がり、その勢いで跳ねるように飛び起きる。


「ッチ。俺の考えに気が付きやがったか」


 背中から落ちたため息が苦しい。

だがどうにか両膝を着かずに済んだ。


「卑怯だとは言うまいな!」


「ああ、言わないさ! 此方も遠慮なくやらせてもらうつもりだからな!」


 そう返すとガイは楽しそうに「貴様にできるかな!」と再び此方に向かって来る。

投げた剣を拾い、そのまま両方の剣を下から上に向かって振り上げてくる。

それを後ろに跳んで避けると足場の端まで追い詰められたことに気が付いた。


(膝の次は落下狙いか!!)


 猪武者タイプかと思ったが頭が回る。

的確に勝利するための手段を選んでいる。


(さて……どうやってここから挽回しようかな?)


 機動力は相手の方が上だ。

ガイは縦横無尽に戦場を駆け巡り、一撃離脱戦法を好んでいるように思える。

今のままでは彼に翻弄され続けるだろう。


 ガイの動きを警戒しつつ辺りを見る。

少しでも地の利を得られそうな場所……それは……。


(あそこだ……!!)


 敵の機動力を削ぐ場所を見つけると敵にフェイントを掛けてから駆け出すのであった。


※※※


 ガイの中に慢心という文字は消え去っていた。


 最初は人間如きがと侮っていたがロイと刃を交えるうちに認識を改めさせられた。


 この男は手強い。

恐らく様々な修羅場を潜り抜けてきたのだろう。

追い詰められても焦らず、闘志は微塵も減っていない。

それどころか奴の闘志は更に研ぎ澄まされている。


(他の連中では相手にならなかっただろうな)


 守人はエルフ族の中でも武勇に優れた者がなる。

しかしこの国は鎖国しているため守人たちの多くは実戦経験が無いのだ。


 たまに森に侵入してきた愚か者を狩ってはいるが、それは一方的なものでおよそ戦いとはいえない。

故に守人は腕は立つが弛んでいる者が多いのだ。


 自分は常々外の世界の者を警戒しろ、いつ戦になっても戦えるように鍛錬しろと言ってきた。

だが他の守人は『エルフラントは敵に攻め込まれないし、来ても人は弱いから簡単に狩れる』と真面目に聞かなかった。


(俺の考えは間違っていなかった!!)


 人は手強い。

この騎士のような者が他にもたくさんいるのだろう。


 外を拒絶せよ、されど侮るな。

この国の守人としてその認識を徹底させなければ!


 騎士が動いた。

簡単なフェイントを行ったあとに駆け出し、どこかを目指す。


 足場の端に追い詰められたため中央に戻ろうとしているのか?

否、これは……。


 騎士は全力で駆けると跳んだ。

今いる大きな円形足場と小さな円形足場の間にある細長い足場。

そこに着地したのだ。

そこから小さい円形足場に移動するのかと思ったが彼はその場で此方を待ち構え始めた。


「考えたな……!」


 あそこは人が一人立てるくらいの一本橋のような場所。

此方の機動力を失わせ、正面からの斬り合いなら勝機があると考えたのだろう。


 だがしかし!


 ロイが待ち構える一本橋に跳躍する。

そしてそのまま敵に向かって突撃し……跳んだ。


 ロイが突きを放って来るのと同時に足場を蹴り、敵の頭上を越えて跳んだのだ。

彼の背後に着地をすると剣を逆手に持ち━━。


「━━もらったぞ!!」


 彼の背中に向かって渾身の突きを放つのであった。

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