入団初日

第5話 市役所手続き

 アダチは市役所の妖獣対策課の窓口前で座っていた。

 昨日のオーロラのせいで通信障害が出てしまっているのかスマホで暇潰しをすることもできない。


 仕方なく周囲の人間をチラチラと観察する。


 地味だがプライドの高そうな目付きをした30過ぎと思われる女。

 筋肉の上に脂肪がついた、ヤクザ、いや格闘家のような40代と思われる男。

 作業着のヤンキー風青年、ボサボサ髪のおたく風青年、この二人は10代のようだ。

 皆、居心地の悪そうな顔をして座っている。


 「三番の方、お待たせしました。」


 ようやく呼ばれた。


 「三番のアダチヨウスケさんで間違いないないですね。」

 色々と長い説明が始まるが面倒なんで適当に聞き流している。

 「……それでは説明は以上になります。妖防学校入校前までに要綱をよく読んで準備しておいてください。それと給与口座は……」

 長い説明をひたすら聞き流し署名押印する。

 「ああそれと、あなたの所属は第六分団になります。一度挨拶に行っておくと良いですよ。今日あたり分団長が屯所にいると思いますので。」


 挨拶か、そうだな。当然行くべきだろう。今日は会社に行かなくても良いし、どうせ帰り道だ。

 市役所を出てぼんやり歩いていると、後ろから話しかけられる。


 「ねぇ、兄さん。今日手続きしてたってことは第六分団でしょ。挨拶に行くなら一緒に行こうよ。」

 さっき窓口前にいたヤクザ、いや、格闘家風の男だ。

 別に断る理由はない。それに今後の付き合いもある。お互いの紹介を兼ねて一緒に屯所へ向かうことにした。

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