第3話 妖防団員採用担当者殿(総務省担当課個人メモ)
個人メモ(一読後廃棄)
各都道府県各政令市
妖防団員採用担当者 殿
総務省妖防団設立準備室
妖防団員採用基準について
過日、妖防基本法(以下法という)が国会で可決され各省庁自治体で施行に向け対応しているところであるが、法の中核をなす妖防団員の採用基準について質疑が多いことから当室が想定している基準を示すこととした。
記
1 年齢
法で規定するとおり16歳以上の者。
2 性別
妖獣の駆除を想定した組織であることから男性が望ましいが、女性の採用を禁じるものではない。
男女雇用機会均等が推進され世間に認知されていることから、採用要綱等にこれを記載することは厳に慎まれたい。
3 身体能力
歩行が可能であり、妖獣駆除器を振るうことができれば問題はない。
4 経歴等
昨今の労働力不足、通信障害による生産性低下等により、官民問わず高度な知識、技能をもつ人材は適所に配置されなければならない。
妖防団の責務は高度な知識、技能を必要とするものではなく、それらは反って職務遂行の妨げになる可能性があり、無用の長物となりかねない。
しかしながら、下級団員の指揮監督に携われる高度人材も必要とされ、今後の情勢によっては非常勤特別職地方公務員としてではなく、幹部登用も見据えた常勤一般職地方(国家)公務員としての任命することもありえることから、それらの人材の比率について考慮すること。
また非常勤職員としてならば日本国籍を有する必要はないため、外国人の採用に問題はない。
5 思想等
動物愛護の範囲に妖獣を含め、妖獣保護、共生を訴える団体や、妖獣を神聖な存在とみなし崇拝する宗教団体に所属する者、それらの思想に影響を受けていると思われる者は厳に排除すること。
また、地方公務員法第16条の欠格条項に該当するものは採用してはならない。
6 その他留意事項
(1) 某新聞社の世論調査により、妖防団への参加を検討する者、希望する者は非常に少数であることが判明した。
また、法により各事業者へ妖防団員雇用が義務付けられたが、産業界の抵抗により罰則は軽微なものとなったことから、妖防団員採用試験の申請者数は低調であることが予測される。
各採用担当者は広報活動を積極的に推進し定員割れの防止につとめること。
(2) この文書はあくまでも個人メモであり、一読後は必ず廃棄すること。
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