第六妖防団

山梨瑞木

オーロラの夜

第1話 1年前

 「ヒロノ一佐、これで片付きました。」

 「ひどいもんだな、損害はどんなものだ。」

 「三人殉職です。」

 「そうか。たった一体に三人やられるのか……。事前情報のとおりだな。」

 「ええ、火器も一切効きませんでした。結局、ポン刀で。

 止めを刺したのはサイトウです。少し錯乱しているので休ませます。」

 「ふーん。サイトウがね。死んだ三人は剣道、居合それなりだったんだろ。」

 「そうです。ただ……相手が鬼じゃ厳しいですよ。」

 「これから増えるよな。こういうの。」

 「間違いないでしょう。中国やロシアなんかの外れじゃ、うじゃうじゃ出てるって話ですよね。最も情報統制されてるんでしょうけど。

 それで、県警が説明を求めてますけど、どうしますか。死人が出てるんで検死も必要なんでしょうか。

 それと、総務省のヤマガタ課長補佐も説明がほしいと。県の危機管理部の女の子も同じように。」

 「情報本部を通してもらってくれ。」

 「わかりました。」

 「ところでキクチくん。」

 「はい。なんですか」

 「君は妖防団教官任用科とかいうの行くんだって。」

 「はい。今後新設される民間防衛組織の教官になるようで。」

 「そっか。重要な仕事になるかもよ。これから国とか地方組織も妖獣メインで再編成されるかもな。

 キミ、ちょっと熱意に欠けるところあるから心配だなぁ。」

 「そ、そんなことないっすよ。自衛隊で学んだことを生かして取り組みます。」

 「良いねえ。でも今の時代に民間人を集める妖防団なんてろくな人間集まりゃしねぇだろうな。」

 「そんなこと言わないでくださいよ。それなりに使えるようするため、やれることはやりますよ。」

 「そっか。まぁお互い頑張ろうや。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る