スキルの種~自称神様からもらった種で無双が実現できるのですが~

カンナヅキ(伊弉冉 夜月)

第1話

砂嵐が吹く中、俺は立っていた。

目の前に立つ真紅のドラゴンに俺は手をかざした。狙うは首だ。


「《風(ウィンド)切(・カッター)》」


ドラゴンの体が・・・腹のあたりがずれ始める。首を狙ったが少しいやかなりずれたけど・・・


「うわぁ・・・。やばすぎる。ていうか、失敗してもこれかぁ。」


俺―――ラレク・レイモンドはひきつった笑みで倒れているドラゴンを見た。


******


「かはっ」

「よう、出来損ない。まだ、くたばっていなかったのか。」


俺は学園の校舎裏でいつもの奴らにいじめられていた。魔法も剣技もろくに使いこなせない俺はいじめっ子には格好の標的だった。校舎の窓からは学園生が何人か覗いていた。

助けないといけないのに彼らは助けようとしない。いや、助けることができないのだ。


ガイルス・フォン・アルベスク―――いじめっ子の主犯である。

彼はこの国の伯爵の息子だ。親の権利を使ったら、俺なんかすぐに追い出せれるはずなのに、ガイルスは追い出そうとしない。理由は簡単だ。いじめることができなくなるからだ。他の人も貴族にケンカを売るなど「死」も当然。俺もこいつには口答えができない。

せっかく、母さんが用意したお金で入れた学園なのだから。病気になっても稼いでくれたお金だから。俺が稼ぐほどの実力が無いから。


学園側もアルベスク家から多額の補助金をもらっているから、お得意様の機嫌を損ねないようにいじめは見て見ぬふりをする。


(力さえ・・・・・・力さえあれば・・・学園なんか通わずに冒険者として母さんの治療費が稼げたのに・・・)


俺は心の中でガイルスに気づかれないようにこぶしを作りながら呟いた。


******


「・・・っっっつ!?痛たぁぁぁぁ!」


時は夜。

寮の部屋で俺は昼につけられた傷に消毒液を付けた。ものすごく痛い。うぅぅ

日に日に傷が増える一方だ。

剣の訓練は怠っていないし、魔力の操作もやっているのになんでうまくならないのかな。勉学はできるのに・・・


才能のなさがこういう時に憎い。


剣じゃなくても魔法——治癒が使えるようになったら、こんな学園すぐにやめようと思うのにな。


「はぁ・・・勉強するか。」


机にある参考書の数々に目を向けた。成績がいいのが唯一の救いなのだから・・・


_________

「ん・・・・・・・へっ?」


気づいたら、真っ白の部屋にいた。俺は確か勉強してたような・・・・?寝落ちしたのか。夢ってことか?いや、夢にしちゃぁリアルすぎる。俺はほっぺをつねってみる。えっ!?古典すぎるだって!?


「いひゃい」


馬鹿げたことをしていると目の前に一人の美少女が降り立った。きれいに着地するかと思ったが・・・


「あでっ」


こけた


何もなかったように俺に顔を向けた。美人すぎだろ。彼女は俺に向かって言った。


「ラレク・レイモンドさん。私の信者になってください。」


はい?

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