変態は個性って言えますか?
神喜
第1話 S級美少女との出会い
春風薫り桜舞う今日。
僕は変態に遭った。
彼女、一言でいうなら美少女とも美人な女性ともとれる長い黒髪の女性。
彼女は突然米寿のロングコートを青空の下、僕に向け開く。
それは、もう幼い頃過ぎて覚えていない母の身体以外に初めて生で見た女性の身体だった。
「ハァハァ……」
目の前にいる彼女は僕を見ながら光悦な表情を浮かべ、普段は秘匿されているであろう白い肌を見せつける。
実際、彼女の身体は普通の女性より魅力的なのではないかと思う。
AVやエロ本などでしか女性の裸など見たことがないが、超簡略的に説明するとするなら、その一ページを切り取った正に「始まりのシーン」を生で見ている様だった。
「……あの、僕未成年なんですけど」
僕の推測ならこれは素人の企画モノAVの筈だ。
出なければ、AV女優位美しい美貌と顔をした女性が冴えない僕に身体を見せつけるはずがない。きっとタイトルを創造するに「童貞切り百人企画!」とか、そんなのだろうか。
「ハァハァ……ち、違います私は」
「えっと、そういうシーンなんですよね。僕、よくそういうの見るんで知ってます。まさか自分が受ける立場になるとは。でも、出演はできませんね。なんせ未成年なもんで」
「そうじゃなくて……」
「ですので、残念ですけど今回はお断り、というか中止ですね。それでカメラマンの方は?」
辺りを見渡してみるが、撮影クルーが中から現れ、またプレー現場となりそうな長いワゴンも、怪しいトラックも止まってない。
「カメラマン……? もしかして撮影する趣味がおありで?」
「いや、だってそうでしょ。これ素人企画じゃ……」
首をかしげる女子。まるで、僕がおかしな事を言っている様なそんな雰囲気。
「え、ちょ、まってください。あなた女優さんじゃないんですか?」
「じょ、女優? 私は違いますよ。ただ、見てもらいたくて……」
見てもらいたくて? ……背中から変な汗が流れる。
もしかして、もしかしてだけど……。
「あの、私あなたに裸を見られたくて咄嗟に……どう、ですか?」
今の会話でもしかしなくても理解した。この人――。
「――ガチの露出狂だ!」
「はい」
何故か満足げな表情で頬を上げる彼女。
そして、そんな彼女に恐怖を覚え、僕は――。
「あっ、待ってください――」
咄嗟に、その場から走り去ったのだった。
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