初心者だった僕が気づいたら最強になってました
龍牙王鳳
プロローグ
赤き彗星
全身赤色。つまり、赤い兜に赤い鎧に赤いブーツに赤いコテに赤い剣を携えたこの者を現している。彼のプレイヤー名は【ダイモン】。このゲームにおけるトップに君臨する最強のプレイヤーだ。
彼は数多の大会を制覇――つまり、1位の座に着いている。彼を知らぬ者はこのゲームにそうそういないだろう。むしろ、知らないと言ってしまったら、周りに「頭おかしいんじゃね?」や「お前ダイモンを知らずにこのゲームやるんじゃねぇよ」などと批判を食らってしまう。民度が低いという訳ではないのだが……。
「今日もひと狩り終了〜」
こうして1人で「疲れた〜」と言っている者こそがダイモンである。プレイヤーたちがまだ知らぬ狩場を潜ってはひたすら狩り続けている。たとえ、初見モンスターであろうとパターンを見極め、一気に攻めるのが彼のスタイル。
「ざっと一時間は狩りしたかな。よし、ログアウトするか」
悲しげな効果音と共に俺のアバターはその場から跡形もなく綺麗なポリゴンの欠片を発散させながら消えていく。
「さぁて、攻略サイトはどんな感じになってるんだろ。新イベとか始まるんかなぁ。うーん。これ以上インフレはして欲しくないけどね……」
俺の装備一式は、この前のイベントで1位を取った時の報酬である。この装備の特徴は、靴には【常時:地面から発生する毒の沼等を無効化する】があり、鎧には【一万以上のダメージを無効化、さらにそれ以下の攻撃のダメージを50%カット】があり、コテには【常に自身の力・攻撃を+1000する】そして、兜には【自身が受ける状態異常を全て無効化、さらに10秒毎に体力を100回復させる】最後に剣には【エクストラスキル「豪炎加撃」】がある。
チート並のこのスキル補正は、現環境トップと噂されている。そして、俺は【赤き彗星】という二つ名を持っている。
なぜ、赤き彗星なのかというと。ステ振りが攻撃特化、スピード2番といった振り方だからだ。これのおかげで、迅速かつ最高火力で相手を攻撃すれば相手はなにもできずに倒れてしまう。
彗星の如く速くて戦闘能力がえぐいということからきているのだ。だからこそ1位を取れる。たまにモンスターを倒すことが目的のランキングイベントが開催されるが、モンスター相手でもそれは同様である。
なぜ、俺がここまで強くなれたのかを話していこう。
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