ヤンキーJK夏目ケイ、アイドルになる
ぴで
第1話 ヤンキーJK夏目ケイ、アイドルになる1
あたいはヒラヒラした衣装を着せられ、舞台袖から客席をのぞいた。
「なんでこうなったんだ」
「ケイ、準備はいい?行くわよ!」
小さい頃の夢はアイドルだった。
家はお世辞にもお金がある家ではなかった。そんな貧しい生活をしている中で、テレビの中で歌ったり踊ったりする華やかなアイドルに憧れた。
そう思っていた事もあった。しかしいつの間にやら私の拳は赤く染まっていた。
あたいの生活が変わりだしたのはボロボロのランドセルに文句を言われた事だったと思う。
ランドセルは兄貴のお下がりだったがあたいは気に入っていた。
言われたあたいとしてはもちろん許さないし、ケンカになった。
ケンカには勝ったがクラスの女子はあたいの近くには寄らなくなった。そこから悪い事があるとあたいが悪いと噂をたてられる事になった。
いつの間にかヤンキー扱いされ、あたいに寄ってくるやつはクズと呼ばれるやつばかりだった。
学校をさぼり、繁華街の裏通りでケンカをしていた時だった。
私の高校はセーラー服だった。私はお小遣いももらえないので唯一可愛い服は制服だけだった。
制服が汚れないように兄貴の学ランを羽織り、ケンカはいつも通りあたいがボコボコにし、相手は去りぎわに
「覚えてろよ黒龍!」
そう言い去っていった、ちなみに黒龍とは私のあだ名らしい。兄貴もヤンチャだったので黒い学ランの背中には龍が刺繍されていた。
たぶんそこらからあだ名になったのだろう。
ケンカも終わり街で適当にぶらつき時間をつぶそうと思ったそんな時、あたいの後ろに視線を感じた。
小綺麗なパンツスタイルのOLのような女が私に近寄ってきた。
年齢は二十代後半、三十代前半ってとこか。
「いい目をしてるわね。私は片桐玲子(かたぎりれいこ)、あなたは?」
「あたいの名は夏目ケイ、あんた何者?」
「私は格闘技からアイドルまであつかう、とまでは言わないけど芸能プロダクションの者なの。あなたのような人を探していたの、良ければステージに上がらない?」
「いよいよあたいも格闘技の世界に誘われるようになるとはな」
「美しい長い黒髪、引き締まりつつもすらっとしたしなやかな体のライン、そしてあなたにはオーラがある、あなたなら戦っていけると思うの」
「私には戦う以外特技はねぇんだ。いいだろう連れてけよ、そのステージによ」
「助かったわ、今日ちょうど空きが出たから困ってたの、タクシー呼んだから乗ってちょうだい」
「おいおい今日いきなり戦うのか、いくらなんでも急すぎないか」
そう言われ2人でタクシーに乗った。
数十分ほど走りタクシーが止まり着いた場所は駅前の大型ショッピングモールNIONだ。
「今日はここでデビューイベントがあるのよ。さ、ついてきて」
こんな家族が買い物するような場所で血が飛びかうような戦いをするつもりなのか?
言われるままついていきNIONの入り口をくぐった。
その先には3階まで吹き抜けの空間に小さいながらもイベントスペースにステージが組まれており、あたい達はそこの舞台裏に入った。
「なんとか間に合ったわね、そこに舞台衣装があるから着替えて」
たぶん格闘技らしく短パンにタンクトップとかだろう。
試着室に入り、かけられている衣装に手をかけ、着替えた自分を鏡で見て驚いた。
「ちょちょちょおいお前!これどういう事なんだよ!」
「どういう事って何が?」
「これだよこの衣装!短いスカート、メイドをアレンジしたようなこの服、まるでアイドルじゃねぇか!」
「あれ?アイドルのイベントって言ってなかったっけ?」
「ア、ア、ア、アイドルだって!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます