第547話 受け答えがぎこちない。
フロントカウンターの前。
いつもの制服に身を包んだアイはマニュアル通りの完璧な一礼をした。
「お帰りなさいませ、ユーマ様」
そこに感情の色は無い。
無いはずの感情を読み取ってしまうのは俺の感傷だろうか。
「ただいま」
「御無事で何よりです」
「うん……」
ウェントリアスが去り際に言った「正妻」だの「ねぎらってやれ」だのの言葉が頭から離れない。ねぎらうのはいい。当たり前だ。でも正妻ってなんだ。
「ユーマ様がお留守の間の報告事項についてはのちほど。おやすみになりますか?」
「あー、うん……。そうだな。そうしてもらえるか」
「承知しました」
余計なことを考えてしまっていて受け答えがぎこちなくなっている。リュカの相手は全然問題なかったのに。やっぱりアレだ。ウェントリアスが妙なこと言うからだ。
「用があったら呼んでくれ」
そう言い残して俺は俺のパーソナルスペース――事務所横の仮眠室に入った。
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