第404話 人生ぼったくり

「お? どうしたオッサン?」

「どうもしない。ちょっとした見込み違いだ」


 俺の交渉がヘタクソ過ぎるだけかもしれんが、それでも以前のクラリッサとはちょっと違うと思わせられた。彼女の商才を見誤っていた。だから俺は素直に頭を下げるのだ。


「悪かった。そいつを買わせてくれ」

「やけに素直じゃん、オッサン」

「いくらでなら売ってくれる?」

「銀貨20」


 意気揚々とふっかけてきやがる。

 商才は認めはしたが、

 

「それはぼったくりすぎるだろ。10……12枚」

「18だ」

「14枚」

「17。これ以上は譲らねえからな」

「16枚」

「17だ、って言ってんだろ」

「……仕方ないか。わかった。銀貨17枚。弾代は別、とか言うのは無しにしてくれよ」

「ちっ」

「別にするつもりだったのか……」


 商魂逞しいやつである。

 見習って俺もコイツを銀貨20枚でヴィクトールに売りつけてることに決めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る