第354話 無茶苦茶な依頼内容と帝位の簒奪者の話



「内政も外交も帝国のせいでズタズタなのはよく理解した。それで? 俺に何を求めようってんだ? あらかじめ言っておくが、タダ働きをするつもりはこれっぽっちも無いからな」


「王都の復興と国境線の防衛力強化を頼みたい」

「しれっと気軽にとんでもないこと言いやがったな」


 シムシティやるんじゃあねえんだぞ。

 だいいち俺に町づくりのノウハウなんぞほとんどありゃしない。防御陣地の構築に至っては、学生時代に戦記物を少し読んだくらいの見識しか持ち合わせていない。


「無理だ」

「そこをなんとか」

「なんともならん」

「……すまん。私から少しいいだろうか」


 俺とヴィクトールが押し問答をしていると、イグナイトが小さく手を挙げた。


「なんですか、イグナイト殿下」

「帝国についての新たな情報が入ったのだ」

「ほう」

「先日の侵攻の前に、帝国の皇帝は代替わりしたらしい」

「……ほう?」


 代替わりした直後であの戦力を差向けてくるとか、どういうやつだ。

 というか、


「代替わり、って世襲ですよね。二世とかですか」

「いいや、帝位を簒奪した者がいるらしい」


 クーデターか。

 なんなんだこの世界、クーデター好き過ぎるだろ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る