【幕間】
一兵卒は殺されたのに死ねずにいる
私は帝国臣民の一員として徴兵され厳しい訓練を経て、この作戦に配備された。
帝国の最新技術の粋を集めた兵科――銃兵の、圧倒的な射程と火力で隣国シュトルムガルドの国境近くの守備隊を圧倒していた。
騎兵突撃すら二段構えの銃配備と長槍隊で撃破。
今回の侵攻は成功だ。
今度こそ王都を制圧できる。
私も含め、誰もがそう思っていた。
――その時が来るまでは。
私は銃に次弾装填をしている最中に、それらに襲われた。
それらはついさっき撃ち殺し、刺し殺し、間違いなく絶命したはずの王国兵と騎士だったモノだった。
似て非なる存在だった。
人型をしたバケモノどもは私たちに襲い掛かってきたのだ。
装填作業で無防備だった私には抵抗する
喉を噛み切られ、いともあっさり死んだ。
はずだった。
しばらく
覚束ない足取り。
なんとなく視線を下げると、脚の代わりに腕が生えていた。
歩きにくいわけである。
私はすぐ傍にいた同僚の肩を叩き、無事を伝えようとした。
その時の同僚の顔は何故だが、恐怖に引きつっていた。
仕方ないことだ、と私は思う。
あんな得体の知れないモノに殺された私に、殺されるのだから――
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