第168話 死霊術師の地理の講義
山の麓――ムラノヴォルタの町まで送ってもらい、そこでリュカとは別れた。名残惜しそうに何度も振り返る姿に苦笑してしまう。
(すっかり懐かれたものじゃな)
「ヤツ」が俺の裡でケタケタと笑う。
うるさい。ほっとけ。
俺は適当に「ヤツ」をあしらいつつ、王都行の馬車を一台仕立てた。乗合馬車というわけには流石に行くまい。丁度港町の方へ仕入れに行く商人が居て、乗せてもらうことができた。で、とりあえずここは俺が金を出しておいた。うーむ、依頼主に金が無いのは巨大な問題だな。
馬車は街路を西へ、西へ。
町を離れるとすぐにだだっ広い平原がずっと続いていた。
街路以外の人工物はちらほら民家があるくらい。あとは耕作地。
都市部以外がド田舎なのは
(この王国の北に
と、「ヤツ」が教えてくれた。
先日の斥候部隊の国、か。
(交易などで国交はあるものの常に侵攻の機を窺っておる)
で、機を窺っていたら突然うちのホテルが一夜城みたいに建ったもんだから斥候部隊を突っ込ませたわけか。面倒な話ではある。
(ふん、儂の
俺もそうは思うがね。早く戻りたいもんだ。
(このまま街路を西進すれば王都よ。更にその先には港町がある)
ちなみに王国の南側は?
(南方は百年以上前から小国が乱立しておって常時紛争状態よ)
地政学的リスクが滅茶苦茶高いな、シュトルムガルド王国。
(そこへお家騒動ときた)
どうしようもねえな。
さっさと帰りたいんだが、どうなることやら。
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