第65話 勇者再び
翌日の昼前。
骸骨兵が集まって吊り橋を直した頃。
「来たぞ!」
昨日川に落ちた、というか落とされた赤の勇者が息を切らせてやってきた。
どうやら無事に生きていたらしい。
それにしても昨日の今日で来るの早いな。
どうでもいいが、昨日彼女が川に落ちた後リックたちは逃げだしていた。
そして今日は彼女ひとりである。
「……」
アイが無言で虚空からチェーンソーを引き抜いた。吊り橋をまた落とすつもりだろうか。骸骨兵たちもチラチラとアイを見ている。気になるんだろうなあ。
「待て! 貴様!」
「――どうぞ、よろしければお渡りください」
「どうせ中ほどで吊り橋を落とすつもりだろうが」
「いえそんな」
と言いながらチェーンソーをどぅるるんと始動。説得力は皆無だ。
「おい! そこのダンジョンマスター!」
俺のことか。
ダンジョンマスターじゃないんだよ。
「その娘を止めろ! ズルいぞ!」
ズルって。子供か。
「いきなり攻撃しないでこっちの話を聞いてくれるなら考えてもいい」
「……討伐にきているのだぞ、私は」
「アイ、やれ」
「かしこまりました、支配人」
勇者は面白いほど慌ててくれた。
「わかった! 話を聞こう! だから! な!?」
「アイ、ちょっとストップ」
「はい、支配人」
さて、楽しい楽しいクレーマー対応の時間だな。
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