【幕間】
獣耳の少女は束の間の安寧に浸る
ジブンは酷いことをされるのだと思っていたのデス。尾行に失敗してあの人のダンジョンに連れて行かれた時には死を覚悟していたのデスヨ。
でも、実際にはそうはならなかったデス。
あの人はジブンと同じか小さいくらいいの女の子に床に座らされて説教されてたデス。それも、ジブンをこのダンジョンに住まわせることについての話合いで、デス。
ジブンはわけがわからなかったデス。
わけがわからないまま、その日はナターシャと一緒の部屋で休んだデス。
シュラは部屋は駄目だったけど玄関の中には入れてもらえてよかったデス。
寝る前にナターシャとお湯に浸かったデス。
何か丸い取っ手を回すとお湯が雨みたいに降って来たデス。
魔法みたいだったデス。
お湯を大きな桶みたいなところに溜めて、ナターシャと一緒に浸かったデス。ナターシャはハハウエのようにジブンの髪を洗ってくれたデス。そのあと、ふわふわで真っ白な布で髪と体を拭いてくれたデス。
いっしょのベッドで眠ったデス。
ベッドは信じられないくらい柔らかくて、上掛けは雲のようにふかふかだったデス。ナターシャも「すごいですよね」と言ってたデス。
翌朝、目を醒ますとナターシャに連れられて一階に行ったデス。
朝ごはんがあったデス。
パンとスープと腸詰めと卵。
……本当にジブンが食べていいのかわからなかったデス。
固まっていると、あの人が「しっかり食え」と言ったデス。
だからジブンはいっぱい食べたデス。
ムラを出て食べたごはんの中で一番おしかったデス。
シュラにも、と小声で言ったら「もうあげたよ」とあの人は言ったデス。
その後は「自由に過ごしていい」と言われたので外でシュラと遊んだデス。
昨日の夜から今までの全部が夢みたいな時間だったデス。
あの人は本当に悪者なのデス?
ジブンにはわからないデス。
言われていた通りにジブンは渡されていた紙に書けることを全部書いて、近くにいた小鳥にお願いして、紙を足に結び付けてお願いしたデス。小鳥は一声鳴いて山の麓に飛んでいったデス。
どうしてか、胸の奥がチクリとしたデスヨ?
心がざわざわするデスヨ。
これで、よかったデスカ……?
シュラがひと吠えして、濡れたジブンの頬を舐めてくれたデス。
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