第13話 弾丸生産ライン!

 拾い集めたゴブリンの宝石は、今まで通りティエルノ部屋へと運んでおいた。ゴブリンの宝石の数がすごかったので、とりあえず小型の[圧縮コンテナ]をおいてその中に入れておいた。コンテナの利用権限を変更しティエルも取り出せるようにしておいた。


「さーて、そろそろ休もうかなー」


 一区切りついたので背伸びしながらそういった。するとそれに反応するように騒音ソードが何か喋り始めた。


「大切な話です。 森は ##$&% 毎日 出産します 明日 夜 また遊びましょう」

「ん? 森が出産? 遊ぶ? 意味分かんないよ……」


 翻訳がまだ完璧でないようなので、何が言いたいのかよくわからない……。ティエルは騒音ソードの言葉を聞くと何か考え込むように空中でぐるぐると回りだした。


『何やら重要事項のようですね。今の言葉を再翻訳してみます』


 ティエルはそう言うと、いろいろなものをホログラム表示させ騒音ソードに見せて、『これは?』と質問している。そしてゴブリンのホログラムを見せた途端また騒ぎ始めた。


「森は それを 毎日 出産します 明日 夜 また遊びましょう」


 私はなんとなくこいつの言いたいことがわかった。けれどもそれを認めたくなくて口に出さず成り行きを見守ることにした。


『セントリーガンをおもちゃみたいなものだと説明したため、どうやら戦闘と遊びを誤訳していたようです。言語ファイルをアップデートします』


 ティエルの誤訳報告で確信する。また徹夜になりそうだ……。


『できました先程の言葉は、”森は毎日ゴブリンを生み出し毎夜戦闘が起こる”これが正しい翻訳です』

「やっぱりか!もー! すぐに弾丸生産ライン作ってくる!」


 私はティエルにそう言うとすぐに外へと飛び出した。慌てて最後まで聞かなかった私にティエルから通信が入る。


《続報がありそうなので、また後で連絡します》


「んあー!もう! 生産ラインを作って弾を貯めるまで約20時間しかないよ!」


 私は急いでライン構築に取り掛かる。コンベアが短いとか真っ直ぐだとか言ってられないので、最短ルートでラインを作るしかない!

 生産まではできるけどセントリーガンへの弾込めは手動になりそうだね。そうなると、資源採掘の[採掘機]、原料を素材に変える[リファイナリー]、素材を製品に変える[アセンブラ]の3つが最低条件だ。取りあえず原料の仕分けは後回しでとにかく弾丸生産ラインだけ作ろう。


 まずは[採掘機]だ。ビルダーで採掘機を選択して、とりあえず家の入口を挟んで電源生産ラインとは逆側に建てる。


 金属素材もだいぶ少なくなってきたねぇ……。近場に金属資源の埋蔵量が多ければいいけど……。


 建造が終わった採掘機は今までの機械で一番大きい。巨大な六角柱の黒い建物で各面にシャッターが付いている。そのシャッターは搬入口が1つ、搬出口が3つ、残り2つはドローン発進口と帰還口だ。

 そう、この採掘機はこの建物自体が採掘をするのではなく、小型の採掘ドローンを放ち設定した地域を採掘していくれるのです。地表面に金属資源が多い場合に用いられる露天掘りと、地下に金属資源が多い場合の坑内掘の両方に対応した設備です。


 施設が完成すると無線給電され自動的に動作し始める。発進口のシャッターが開き黒いキューブがゴロンと1つ出てきた。

 その黒いキューブは縦に線が入り中央が開くと中心にカメラが1つ見えた。さらに底面が開き中から四本の足とドリルアームとスコップアームが展開される。キューブは角張った黒いカニのような姿に変わった。


《スタンバイ完了、採掘地域を設定してください》


 採掘機から通信が送られてきたので初期設定をすることにした。


「とりあえず採掘機を中心に20mで、地下5mから下にしておこう」


 腕の操作パネルで設定を終わらせると採掘ドローンが動き出した。その場で地面をザクザクと掘り出した。土をすくっては体内の圧縮コンテナに詰めていく。その様子はまるでカニが食事をしているように見え、なんだかとても可愛らしい。


 ある程度掘り進めたらコンテナが一杯になったようで穴から這い出てきた。そして帰還口のシャッターを開け採掘機内部に戻っていく。体内の荷物を降ろしたらまた発進口から出てきて穴掘を再開する。


「よしよし! よく働いてるね」


 ドローンが正常稼働しているのを確認したら次は採掘の成果を見る。私の予想通りやはり地表面には金属資源が少ない。この地域は長い間森だったようで、堆積した落ち葉からできた土の層が深いのだ。

 肝心の石材は少なめかなと思ったけど、穴の中からドリルの音がし始めたので弾丸の原料確保はできそうだと安心した。


 もう一度ドローンが戻ってくると石材がぐんと増えたので、次の作業に取り掛かることにした。


 原料を精錬してブロック状に加工する[リファイナリー]を建設した。リファイナリーの見た目は、平べったい円柱のような形をしていて、後に何段も上に重ねられるような作りになっている。搬入口と搬出口はスライドドアになっていて搬入しようとすると勝手に開くようになっている。

 設置した場所は採掘機から10mほど離れた場所です。そのうち間に原料を仕分けする施設を建てる予定なんだけど、今は時間も資材もないのでスペースだけ開けて後回しにする。


「金属資源が安定生産できるまでは人力だね~」


 リファイナリーの次は[アセンブラ]です。これもリファイナリーとスペースを開けて建てます。間に保管用の大型圧縮コンテナを設置するためです。アセンブラの見た目はリファイナリーに似た薄い円柱だけど、ガラスのドームがついている。その中には円形の作業台があり周りには数種類のロボットアームがあるのが見える。全体のシルエットは亀のような形をしている。

 この作業台の中心に制作物をビルダーと同じようにナノドローンが下部から組み上げていくのです。


 建築が終わるとついに金属資材が尽きた。これ以降は採掘機の活躍に期待するしかない……。


「とりあえず必須の施設配置は終わったね」


 私はグッと背を伸ばし空を見上げる。青い空には太陽がサンサンと輝いている。スーツを着ていても天気がいいと気持ちも晴れやかになる。


「うーんいいお天気! 太陽も輝いてるね」


 ん? 太陽が真上にある?


「ええ!?もうお昼!? またゴブリンが来るまで12時間を切ってる!?」


 私は急いで弾丸の製作に移ることにした。


 まず採掘機から石材を取り出す。3つある搬出口の1つを石に設定して排出指示を出すとシャッターが開いた。そして、その中に上部の蓋がない金属製のコンテナがゴトンと落ちてきた。そしてそのコンテナにサイズがバラバラの石類が雑にドドドっと落ちてきてコンテナいっぱい詰め込まれた。


「これをリファイナリーにっと!」


 1mの立方体であるコンテナに満杯に詰め込まれた石はとても重い。スーツのアシスト機能をフルに使ってやっと運べるほどの重さだ。転ばないようにゆっくりと運びリファイナリーの近くまで行くとスライドドアが開き短いコンベアが出てきたのでそこにコンテナごと乗せた。


「きつい! これはかなりの重労働だよ~丸太とは比にならない重さだ!」


 原材料を受け取ったリファイナリーが稼働する。ゴワンゴワンと何かが回転するような音が聞こえてくる。その音を聞きながらしばらく待つと逆側のスライドドアが開きコンテナに直方体の石ブロックがきれいに並んで出てきた。密度が上がったせいか体積は半分ほどになっていた。


「これをさらにアセンブラにっと!」


 体積はへったけど重さは変わっていなかった。同じく重さに苦労しながらアセンブラに運ぶと搬入口が開いたので、そこに石ブロックが入ったコンテナを収めた。


「作成、石ペレット弾薬箱、作成数永続」


 作成物を設定するとアセンブラが稼働し弾薬箱を作り始める。この弾薬箱は一箱200発入りだ。コンテナ1杯の石でどれだけの弾ができるのだろうか……場合によっては間に合わないかもしれない。


 搬出口が開きドキドキとしながらコンテナの中を覗き込む……


「2箱……400発か……」


 私は西日がきつくなってきた太陽をぐっとにらみ、間に合うかどうか考えながら弾薬づくりを再開した。


 ”もう少し金属があればコンベアを使えたのに!”とか”未来の予定なんて気にしないで全部隣接させればよかった”や”今度は発電用の木材が足りない!?”と愚痴りながら作業を進めた。


 あちこち人力で運び休む暇もなく運搬していると、やがて日が落ちついに昨日襲撃が始まった時間が再びやってきたのだった。

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