少女Rの独白
ティラミス信者
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それは、私が描いた夢物語。
叶うはずのない幻想を綴って、退屈な毎日に色を足していって、そうやって器を満たしていくの。
1つ目は、不老不死のお姫様。
なんて在り来たり。
なんて平凡。
でもそれが楽しくて、だけどそれが虚しくて。
ひとりぼっちのおままごとでしかないのに、必死に何かを求めている。
2つ目は、強くて優しい女王様。
それは憧れ。
それは羨望。
なりたいと思うものに手を伸ばし、なりたいと思うものを作り出す。
ふたりだけのかくれんぼは寂しくて、だけど君が隣にいてくれる事実だけを感じていたかった。
3つ目は、誰よりもかなしい魔王様。
きっと同じ。
きっと違う。
何度も見たような肩書きを並べては、今度は別だと思い込んでいる。
なかまはずれのおにごっこを楽しいとは感じないけれど、笑顔のふたりを見ているのは好きだった。
4つ目は、強くなりたいお嬢様。
だから逃げた。
だから閉じ込めた。
冷えたぬいぐるみはとても優しくて、壊れたお人形さんはどこか悲しそうに生きていた。
さんにんだけじゃはないちもんめはできなかったけど、手を繋いで歩いた帰り道を忘れることはないよ。
信じてくれる人なんていやしない。
怖じ気づいていたんだから当然だ。
それでも見付けてほしい。
それでも覚えていてほしい。
臆病者が造り上げた舞台を。
役者達が見出だした存在意義を。
不必要なものなんてない世界で彩られる、真っ暗で明るい未来へ歩いていく、たった1人の醜い彼女の物語だけは。
どうか、どうか、そのまま消し去ってくれ。
また、100年ぐらい後にでも思い出してくれれば、充分だから。
少女Rの独白 ティラミス信者 @tira_08
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