19・・ワルツ

俺は答えを知る、読んだ。鏡を通して文字を。


そして解けた真実。俺がここに居る理由。

そしてマナの事。


急げ。俺は使命感に駆られる。


行かなくてはならなかった。あそこへ。

本来の場所へ。


俺は走り、教会を出る。

何故か崩れていく鍵と鏡の城。

その理由はもう知っている。


(早くしなければ)

 終わりと始まりは、共存していた。

あの文字と時計には、知らなくてはならない、

真実のメッセージが含まれていた。


俺は見る。樹の方向を。


「マナ」

樹までの距離はあと、どれくらいだろう。

全力で駆ける。


マナを、そして奴。あの樹の元へと。俺は急ぎ走る。

使命感に燃えながら。


―――そして、

俺は樹の元へと、辿り着いた。


樹はうごめいてる。呻きながら。

何の声か。


樹を見る。それはまるで、太い血管。

ドクッドクッ。と脈打ち、色も赤黒く変色している。


それでも俺は躊躇わずに、樹に触れる。

 感触はドロッとしていて、熱い。

樹の壁は、まるで招き入れるように、

飲み込んだ。


――俺は樹の中に入り、上へと登る。


ぬめりのあるドロッとした壁。

そこに掴まり。とにかく登る。

暗闇の中、ただ上へ。


―――どれだけ登ったろう?

気づくと樹は朧気に、光っている。

その光の向こうに何かが見える。


歪んでいる。何処かの街?

建物、があり、そして、自動車、がある。

さらに駅。ビル。その世界も暗闇。


特に目を引くのは、不自然に折れ曲がったタワー。


これは、東京。

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