15・・お守り

 2人は眺めが良い、バルコニーに座り夜景を見る。


正面に樹が見える。

闇夜だというのに、暗い光を発しているように見える。


「明日、旅立つのね」

マナがこちらを向いて言う。


「ああ」

俺はマナを見て答える。

「行かなくちゃな」

鍵の洞窟へ。


「リクウ」

すると、マナは頭に付けていた髪飾りを外し、

俺へと差し出す。


「え?」

マナは髪飾りを持って、

俺の手を優しく握る。


「これは、お守り」

とマナは言う。


綺麗な髪飾りだ。

(mana)

と書いてある。


「ありがとう」

俺は答える。


??

この髪飾りの半分は

鏡になっているのか、

俺の顔が映りこんでいる、


「この部分は?」

俺が聞くと、


「真実を映し出すの」

とマナが言う。


真実。

どういうことだろう。


「困ったときは、それを使って」

と優しい笑顔で俺に言った。


――――そして夜が明けた


マナの髪飾りを握りしめ。

旅立つ。


見送りに来てくれた、メイズン王と街の人々。

そしてマナ。


「気を付けて、焦らないで」

マナは言う。


「ああ、ありがとう」

心からそう答える。


今まで色々お世話になった。

此処には、マナには、


いつか恩返しに来なければならない。

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