影と織り成す異世界物語

赤蒟蒻

プロローグ

始まりの時

 昔、昔の話をしよう。


 これから紹介する世界───【ルークス】は七人の神が創ったとされている。


 君達の世界は一人で創った神がいるらしいが、こちらでは無理だったようだ。


 その代りと言っては何だが、こちらでは魔法が使えるし、一部では君達の世界以上の技術が発展している。


 よくある他の異世界の、食料が粗末なんて事もない。大半は君達の時代で言う所の中世な世界だが、君達より文化水準が高い所もある。


 どうだい?とても面白そうな世界だろう?少なくとも君達の世界よりは


 退屈しない事受け合いさ!










 ─────まあ、私が崩壊させちゃったんだけどね。


 え?それじゃあ意味が無い?確かにそうだ。でも大丈夫、創世神様がもう一回世界を創ってくれたらしいからさ。心配しなくて良いんだよ。ちゃんと人間含めた生物も存在してるから。






 ・・・・・・・・






 ……なんだか君達からの信用度が地に落ちたのを感じたよ。


 なら、君達に理解させるにはこれが一番良いかな。


 この世界──【ルークス】を実際に君達に見せるのさ。


 百聞は一見にしかず。


 少し、私の気に入った一人の男の子の物語の一端を見せるとしよう───!!








 ※※※※※※※※※※※※※※※※






「トオル・・・!」


 目の前にいる少女が、悲痛な声で叫ぶ。


 とても、白い。今のトオルにはそれしかわからなかった。


 だが、彼女の瞳が潤んでいる事、そして彼女が恐怖に震えている事は見えなくてもわかる。


 ────仕方なかった。


 こうするしか、なかったのだ。


「──俺は……」辛うじて絞り出された声も、それだけだ。




 約束を、守るよ。


 その言葉までは、言えなかった。でも、頭の中では思う事が出来た。


 それさえ出来れば、充分だ───




 瞬間、周りが漆黒に彩られ、その中でも白く、雪のような目の前の女の子が




 ああ、綺麗だな……




 それが最後だった。




 ※※※※※※※※※※※※※※※※








 いかがだったかな?


 え?全然楽しそうじゃないって…?


 そうかもしれないね。


 でも、この物語を君達にお見せするなら、ここを見て欲しかったんだよね。


 なんせ、いつもの風景だと私の大好きな絶望があまり見られないから。




 さて、前置きが長くなってしまったから、そろそろこの物語を始めるとしよう。


 え?私が誰でどんな存在かって?それは言えないかな。


 そうだ、この男の子が私のもとに辿り着いた時。


 その時は男の子と、君達に名前を教える事を約束しようか。






 それでは、始まり始まり。

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