114話 【智の恋】

\ピンポーン/

ん…。ピンポンなってるな。…あ! 先輩!


\ガチャ/

「先輩あけるの遅くてごめんね!」

「急がせちゃった? ごめんね〜…」

「いえいえ! 来てもらって、ゴホッ。ありがとう!」

「大丈夫? 何か食べるもの作るからまだ寝てたら…?」

優しいな〜、ん? 何か作る…??

「え、先輩ごはん作ってくれるの!?」

「うふふ、うん。キッチン借りても大丈夫?」

「うん!」

先輩の手料理…!!


「少し時間かかると思うから寝ててね」

「え、先輩が料理してるとこ見たい」

「…嬉しいけど、今日は寝てなさい! 早く治ってほしいからお見舞いに来てるんだよ?」

「今日めっちゃ、ゴホッゴホッ、寝たもん」

「そんなゴホゴホしながら言われても心配なだけだよ〜。はい、布団に行きなさーい!」

「はーい」

先輩が料理してるとこ見たかったなぁ。


「…くん、智くん」

んー、先輩の声する。あ、美咲さんって呼ぼうと思ってたんだよな〜。美咲さんに起こされる夢も…、あ。

「夢じゃない」

「ふふ、何言ってるの? ごはん食べられる? 一応たまご粥とちょっとお野菜炒めてみたけど、どう?」

めっちゃうまそうなんですけど!?

「食べたい!!」

「あはは、元気になってきたかな? 熱測ってから食べようか」

「あ、そうだね」

体温計を挟んでっと。

「今日…バイトごめんね?」

「私は元からシフトだったから〜、店長に言いな〜」

「そうだよね」

「でも」

お、なんだ?

「ちょっと寂しかったかな?」

…そんな照れながらデレないでー! 美咲さんかわいい! 熱測ってんのにあがっちゃうよ??

「あ、マジすか! 嬉しい…けど、寂しくさせてごめんね?」

「早く風邪治したら許す」

「もうほぼ治ってますよ!」

「そんなガサガサの声で言われてもね〜」

「いや、のど以外はもう完璧だって〜」

「ほんとかな〜」

\ピピピピ ピピピピ/

「お、何度だった?」

「37度…いや、もう下がったようなもんでしょ!」

「平熱は?」

「36…度」

「調子に乗らないで休みなさい」

「はい」

「じゃあまずはごはん食べて、薬飲もうね」

美咲さんのごはん〜♪

「はい、熱いと思うから気をつけてね?」

「え」

「ん?」

「あの〜カップルの、あーん♡ みたいの。ないんすか?」

こんなときくらい欲張りたい!

「え! …智くん、普通に動けてるし自分で食べれるでしょ?」

「あ〜、熱っぽいし。食べさせてほしいなー。ね、美咲さん?」

「…!!」

あ、照れてる。名前呼ばれるのって嬉しいのかな?

「み、美咲さんって急にやめてよ!」

「俺が呼びたくて…ダメですか?」

「い、いいけど。びっくりしたの。もう、自分で食べなって〜」

「はーい」

っちぇ。あーんはおあずけか。

「今度してあげるから。まずは元気になること」

「ふふ、はーい!」

美咲さんかわいいなぁ〜。

「いっただきまーす!」

「はい、召し上がれ」

「うっまーい!」

母ちゃんの作ったのより断然うまい! あ、母ちゃんごめん…。

「よかった〜、ゆっくり食べなよ?」

「あ、うん。めっちゃうまいわ。ありがとー、美咲さん!」

「う、うん。よかった」

「名前呼ぶたび照れてるね?」

「はいはい、静かに食べましょうね?」

「はーい」

それも真っ赤な顔で言う俺の彼女は最高にかわいいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る