115話
「お、たくおかえり〜」
自販機に行っていたたくが教室に戻ってきました。ちなみに昼休みのごはん中です〜。
「うん」
いつも通りゆみさんとお弁当を食べるみたいですが…元気がないような?
「あれ? たく元気なくねー?」
おいおい、そんな簡単に触れちゃダメだろ…。
「うん…」
マジで元気ないな。
「たく、ほんと大丈夫? あれ、飲み物は…?」
ゆみさんの力で元気にさせてあげてください!!
「豆乳が…なかった」
お、おぉ。豆乳そんな飲みたかったのか。
「あー、売り切れてたの?」
「うん」
「それで、飲み物買って来なかったのかー! 俺豆乳は持ってねぇけど、何か飲むか?」
おい、智。わからんけど、こんな負のオーラ出しまくりなくらいたくは豆乳が飲みたいんだからやめとけって…。
「うん、いい。ありがと」
…いつものたくじゃないな。豆乳ね、そういえばたく豆乳ばっか飲んでるイメージあるわ。
「智くん、史人くん、ごめんねー。たく、豆乳めっちゃ好きで毎日飲んでるから。テンション低いけど、すぐ直るからそっとしといて〜」
さすがゆみさん、わかってるな〜。
「おぅ、了解」
「わかった」
たくのテンションはゆみさんに任せるかー。
「じゃあ、豆乳の話はやめてー。あ、俺の彼女“美咲さん”の話でもしちゃいますかー!」
「もう何回も聞いたわ」
「えー、そんな数回じゃ彼女…美咲さんの魅力はわからんぞ!!」
「…わざわざ美咲さんって言わなくて良くね?」
「美咲さんって呼べるようになったんだって〜」
「それ聞いたって。俺らの前では前みたいに彼女って言えばいいだろ〜」
「えぇ〜、美咲さんの方がいいだろ〜」
智は彼女さんへの愛が止まらないみたいだな。俺も早く彼女ほしい…ってか、さくらを彼女にしたい。って、あれ。さくらどこ行ったんだ?
「あ、皆もう食べてる〜。ただいま!」
「さくらおかえり〜、遅かったね」
「途中で花ちゃんと話してたから〜。今日は花ちゃんクラスの子とお弁当の日だけど、購買行く途中で会ったの〜!」
「豆乳…」
「あー、ごめんね。たく今豆乳で頭いっぱいなの」
あれ? さくらが持ってるの…
「ん? あ、これ? 購買に売ってるやつおばちゃんがくれたんだよね〜。おまけだって〜」
さくら…たくがめっちゃ欲しがってるものをおまけって。
「今日たくくん豆乳飲んでないんだね」
傷をえぐるな、さくら…。
「あー。自販機で売り切れてたみたいで。まぁ、我慢も大事よ」
「うん」
めっちゃ欲しそうだな、たく。
「そうなんだー、はい! たくくんに豆乳贈呈〜」
「い、いいのか?」
めっちゃ嬉しそうだな。
「うん、いつもお世話になってるんで〜」
「ありがとう、今度お礼する」
「いいって〜。あ、お弁当早く食べなきゃ〜」
「さくらありがとね、今度パンケーキ奢る!」
「いいって〜、もらったものだし! じゃあ今度食べに行こうね!」
「うん、そうしよ!」
嬉しそうにパンケーキを食べに行く約束をするかわいらしい女子陣ともっと嬉しそうに豆乳を飲むたくを見た、ある日の昼でした。
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