第78話 【智の恋】

どうも、智です。隣でグッズの子猫(ぬいぐるみ)を見てる先輩がかわいすぎて…もう店ごと買ってあげたいです。

「めっちゃかわいい〜、これ買おうかな…。うん、買ってくる! 智くんは?」

奢りすぎてもカッコつけすぎだよな。そんな金もないし。

「俺は〜、“とらくん”か“うさぎくん”か…。悩みますねぇ」

「あ、ぬいぐるみ買うの! 意外〜、かわいい!」

男子がぬいぐるみ買うって変なのか!?

「え、変ですかね」

「いや、ぬいぐるみ興味ないかと思ってたから驚いただけ〜。めっちゃいいと思うよ」

親指を立てて“いいね”としてくれる先輩。うん、かわいい。

「先輩“ねこちゃん”なんで、俺は“うさぎくん”で!」

「うふふ〜、カレカノっぽ〜い」

「ですね!」

「じゃあ買いに行こ〜」

「はい!」

グッズを選ぶだけでも楽しいのに、先輩とデートなんて最高かよ。


「グッズまで買えてよかったですね〜」

「そうだね〜。智くん、敬語に戻ってるー」

「あ、すみま…ごめん!」

「うふふ、義務じゃないから〜。敬語でもOKだよ」

「ちょっとずつ慣れるね」

「うん、ありがと」

次どこ行こうかな〜、ご飯ってどういうとこ行くんだろ。

「次どこ行く? お腹空いた?」

「お腹空いたー! 食べたい物ある?」

「うーん、先輩あります?」

「智くんはこの辺でよく行くお店ある?」

「あー、ラーメン屋とか…」

おっと、彼女とラーメンとかダメじゃね!?

「ラーメンか〜!」

ん? テンション高い?

「いいね! ラーメン! 初デート感はないけど〜」

「他でも…」

「ラーメンのお腹になっちゃったのでラーメン行こー!」

「あはは、了解です。あっちなんで行きましょう」

先輩のこのラフな感じめっちゃ好きだなぁ。


「いらっしゃい。お、智か。あれ、何彼女さんか〜?」

店主のハジメさんとは仲良しだ。

「そうです〜」

「えぇ、まじで!? 美人さんだな〜、どうもハジメって言います。サービスしますよ〜」

「そんな、ありがとうございます!」

先輩が戸惑ってる!

「彼女口説かないで下さいよ!」

「はいはーい、席そこどうぞ〜」

「ありがとうございます」


「おいしそ〜」

「めっちゃおいしいんで、食べましょう」

「智に彼女か〜、おめでとう。ほら、たまごつけちゃう」

「まじか、あざす! 先輩もどうぞ」

「わぁ、ありがとうございます!」

「あ? 智、お前彼女さんのこと先輩って呼んでんのか?」

「え、あぁ」

そういえば、彼女のことなんだから名前…とかで呼ぶのか。

「智くん、バイトの後輩なんです。それでそのままで」

「なるほど〜、まぁ2人のことだもんな! わりぃ」

「いえ…」

\ハジメさーん、こっち頼みまーす!/

「おぉ、わりぃ。じゃ、美味しく食べていって下さいね。智、またな」

「あざす」

「ありがとうございます〜!」


呼び方かぁ…。先輩はどう思ってるのかな?

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