第59話
…皆さん。さくらの元気がありません。どうしたのでしょうか。
「さくら〜、次移動だぞー」
「え。あ、ありがと〜」
この嘘くさい笑顔…。声も元気がない…。何年幼馴染(片想い)やってると思ってるんだよ。元気がないことくらい分かる。しかし、何で元気がないんだろう…。あ、授業始まる。
何もしてやれないまま帰りの時間に…。俺のせいではない…よな?
「さくら、帰るぞ?」
「え、あ。うん。帰ろ…」
さすがに帰りまで元気ないなら、聞いてもいいよな。
「さくら、どうした? 今日元気ないよな?」
「え! あ、えっと…」
言いたくないことか? こういう時俺が彼氏だったらもっと踏み込んでもいいとか、そっとだ、抱きしめてやるとかできるのにな!
「言いたくなかったらいいぞ?」
ただの幼馴染の俺にはこれが精一杯だ。
「…」
んー。さくら迷ってるのか?
「あー、えっと。帰るか!」
「あ、あのね」
「お?」
「あの。実は…」
なんだなんだ。どうした、さくら。話を聞いてやる気マンマンだが、袖をちょんって掴まれるとかわいいなぁってなるから一旦離してくれるか…?
「ゆみりんとケンカしたー!」
「え?」
あー。そういえば、今日さくら、ゆみさんとあんま一緒にいないなとは思ってたが。ケンカしてたのか。
「なんでケンカしたんだ?」
「この間一緒につけて行こうって約束したシュシュつけてくれてなくて…。私が一方的に怒っちゃったの。謝りたいけどどうすればいいかわかんないよー!」
「おぉ、そうか」
シュシュ…ってあの髪につけるやつだよな? それでケンカ…。いや、女子には大事なことなのか。
「さくら、謝りたい気持ちがあるなら素直に伝えてみろ。ゆみさんだって同じかもしれないぞ? 俺ここで待っててやるから。行ってこい」
「うん。ふーくんありがと! ゆみりんと話してくる!」
今日の俺かっこよくね?
「ふーくん! 仲直りできたー!」
「おぉ、よかったな」
「たくくんが他の男子にもらったものだと思って怒っちゃったんだって。それでたくくんに取られたまま登校したら私に会って…。たくくんはからかっただけだったけどごめんって言ってくれたし、私もゆみりんに謝れて仲直りできたー!ありがと〜、ふーくん!」
「お、おぉ。よかったな。じゃあ帰るか!」
「うん!」
…微笑ましいケンカだな。ってかたくのは本当に嫉妬なんじゃ…。たく、恐るべし。
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