第19話

「ふーくん、熱測って〜」

…俺は今さくらに、好きな子に看病されている。

「ふーくん何か食べたー? ふーくんのお母さんのおかゆあったけど食べれそう?」

夢って可能性も…捨てきれない気がしてきた…。

「ふーくん? おーい? まだ熱っぽくてぼーっとするの? ふーく〜ん! 病院行く?」

\バチンッ/

「ふーくん!? どうしたの! 大丈夫!?」

…痛い。夢じゃなかったようだ…。

「大丈夫。何かぼーっとしそうだったから叩いてみた」

「…えっと。冷やすもの持ってくるね! あ、あと体温何度かちゃんと見といて〜」

さくら、手際がいい。さすが長女(関係あるよな?)だな。うつすの申し訳ないのに甘えちゃってる俺ってだめだよな…。


「ふーくん、はい! 冷えピタ〜」

「冷たっ!」

「熱何度だった?」

「37度。朝よりは下がってるよ」

「うーん。まだ高いね〜。もうちょっと休まないとー! あ、その前におかゆ食べた方がいいね」

「あ、ありがとう。食べれそうな気がする」

温めてきてくれたのか、さくらの手料理ではないが十分嬉しいぞ。

「これも食べれたら食べて! お味噌汁作ったから」

…神様ありがとう。毎日でも飲みたいです、さくらのお味噌汁。

「ありがとう、あっちぃ!」

「急いで食べるからでしょ! ちゃんとフーフーしなさいよ! フラフラするなら私が食べさせちゃうぞ〜」

いや、是非。そんな悪いことみたいに言わないで。食べさせてもらったらもう元気になりますって、ほんと。まぁそんなこと言えないけどね。

「食えるわ! フーフー。うまい! 味噌汁もうまいわ。ありがとな」

「いえいえ〜、いつもお世話になってるからね! 食べたら薬飲んで眠るんだよ〜」


「と…、ふみと、史人! 起きて、具合大丈夫なの?」

「あ、母さん。おかえり」

「さっきさくらちゃん帰ったわ。かわいい子に看病してもらってよかったわね」

そりゃさくらはかわいいし、おまけに好きだからもう本望でしたよ。

「で、具合はどう?」

「もう大丈夫そうかも。熱測っとくわ」


「熱下がってたー。明日も大丈夫そうなら学校行くわ」

「よかったわぁ。じゃあ、まだ油断しないでお風呂入ったらあったかくして寝なさい」

「はーい、了解でーす」


さくらに看病されるなんて、やっぱり夢だったのかも…なんてな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る