疾風の６０秒

努力の結果

２０２０年７月２６日

僕は新潟競馬場に着いた

狙いは本日のメインレース“アイビスサマーダッシュ”直線１０００ｍだ

決着タイムは１分を切る、日本で一番短い距離の重賞レースである

競馬には負担重量と言うものがある

それぞれの馬が騎手の重さも含めて定められた重量を課せられる

この重量は重要で、１キロ違うと１馬身違うと言われている

馬を早く走らせたり、遅く走らせたりは騎手以外できない

その騎手はプロなので、なるべく早く走らせようとする

このレースでは５０～５６キロの負担重量が決まっていいるのだが・・・

配当の過去最高は２千万円

これは１００円買って２千万円なので、千円買っていれば２億円である

今日のレースは１８頭立てなので、人気が無い方から３頭で決まれば大穴だが、一応騎手の力量や馬の脚質等も考慮して

９番人気の⑰・１５番人気の③・１７番人気の⑦

この３頭で決まってもらう事にした

正確には、その３頭以外は不当に遅く走ってもらうのだ

僕の買った馬券

馬単　③⑦⑰　ボックス２千円×６＝１万２千円

３連単③⑦⑰　ボックス２千円×６＝１万２千円

３連複③⑦⑰　６千円

合計３万円をネットを使わず、前日売りで３か所の場外馬券場と当日現地で分けて購入していた

今日までに３００キロ以上溜まってるはずだよな？

「３３０キロ溜まってるよ」

これで大丈夫だよな？

「願いはかなえよう」

では、予定通りにお願いします

「引き受けた」

時刻は３時３０分

運命の時は遂にやって来たのだ

場内に実況アナウンスが流れる

スタートしました！

おーっと３頭がロケツトスタートで差を広げていきます

（その３頭以外はカミーがブ分身して騎手にしがみつき、重さを２０キロづつ具現化させてるからダッシュはつかないのだ）

③⑦⑰がぐんぐん引き離します、これはオーバーペースか！

（全然普通どころか、寧ろややスローなペースですよｗ）

残り２００を通過しますが、後ろからは何にも来ません

このまま決まってしまうのか！

（２０キロ余計に背負っているので当然ですｗ）

１着③番！

２着は⑦番と⑰番が並んでゴールですが、わずかに⑰番が先着でしょうか？

４着は大きく離れて・・・・・・・

本当に来た・・・

３連単の配当は

③－⑰－⑦　15600890円

僕は３億以上の配当を手に入れた

払い戻しは６０日以内なので、馬単の方の一枚だけを換金して僕は新潟競馬場を後にした

それでも１００万を超える金額だった

ありがとうカミー

「良かったな」

覚悟はできているよ

「そうか」

僕はどうなる？

「どうもならないよ」

え？

「お前は努力して願いが叶った、それだけだ」

そうかなんだ・・・

「どんな覚悟をしたのかな？」

いや、大金に振り回されない覚悟だよ

「お前な・・・」

「嘘が通用すると思うのか？」

すいませんでした

こんなにも旨いハナシがあるとは、何かの代償を覚悟しました

「ないよ」

「努力の結果だよ」

「じゃあな」

とにかくありがとう

感謝してるよ

カミーの返答は一切無かった

幸運に対価を求められるのは昔話の中だけだったらしい

僕はグリーン車で家路に付いた