第413話
カフェで夕ご飯を食べながら、みんなでもうすぐ年越しだねと話し合う。
毎年家で年越しをしていた私はドキドキワクワクしながら時々外を見て胸を昂らせた。
親と過ごす年越しもいいけど大好きな人達と過ごす年越しはテンションが上がる。
「あー、優希。私のパスタ食べすぎ!」
「望も私のドリアめちゃくちゃ食べてるし」
「こら、2人ともお店で喧嘩しないの」
プチ喧嘩をし始めた早川先輩と佐藤先輩をお姉ちゃんが嗜める。相変わらず仲の良い関係性に、元生徒会の時を思い出し嬉しくなる。
今の生徒会も好きだけど、先輩達に後輩として甘えられるのが幸せだった。
そんな3人を私はニコニコ顔で見つめ、隣に座っている優香ちゃんも笑顔で楽しそうだ。
お姉ちゃんも佐藤先輩も早川先輩も優香ちゃんのことを可愛い後輩として接し、優香ちゃんも学校は違うけどお姉ちゃん達を先輩として頼り、後輩として接している。
頼りになる先輩がいるって心強くて、私も何度も助けられた。特にお姉ちゃんにはこき使われるけど頭が上がらないほど助けられた。
お姉ちゃんが優香ちゃんに声を掛けようとしてくれて感謝しかない。私は芽衣のことがあり優香ちゃんに声を掛けるのを躊躇した。
お姉ちゃんがいたから優香ちゃんはクラスメイトとのわだかまりが取れ、やっぱりお姉ちゃんには敵わないと思えたよ。
カッコよくて、私のハンバーグをがっつり食べたことは許せないけどね。でも、幸せそうに「美味しい〜」と言ってくれて何よりだ。
「楽しいな〜」
「楽しいね」
「私ね、友達と夜遅くまでこうやって過ごすの初めてでドキドキしてる」
「私もだよ。初めて親以外と年越しのカウンドダウンする」
親とでなく友達と年越しをすることに少し大人になった気分だ。一年が終わり、新たな一年が始まる瞬間を友達と過ごせることが楽しく、カフェにいる人達のテンションも高い。
「水希ちゃん、ありがとう」
「どうしたの?」
「水希ちゃんに出会えてすっごく幸せだから」
「へへ、照れるね」
大好きな人達と楽しい時間を過ごしていると時間はあっという間に過ぎる。時間を確認して、そろそろ駅に向かおうと話し合いお世話になったカフェを出た。
「うわー、人が多いね」
「みんな、迷子にならないようにね」
佐藤先輩がぴょんぴょんと飛びながら、周りを見渡しお姉ちゃんが私達に注意を促す。
確かに気をつけないと迷子になりかねない。それほど人混みに溢れ、歩いているだけで肩がぶつかったりする。
「きゃ」
「優香ちゃん、大丈夫!?」
「よそ見してぶつかっちゃった」
人混みの中を歩くには注意を払わないといけない。でも、夜の大晦日という日はいつもとは違うものが沢山見れて注意散漫になる。
私も周りをキョロキョロと見てしまい、ワクワクした気持ちが抑えきれない。
「水希ちゃん、服を掴んでもいい?」
「服?いいよ」
「ありがとう。私、フラフラしちゃって」
優香ちゃんがそっと私の服を掴んでくる。でも、私の服が掴みにくいのか歩くスピードを同じにしても時々手が離れてしまう。
「ごめん。私、歩くの遅いよね」
「私の服、掴みづらい?」
「大丈夫」
本当は手を繋いだ方がいいのかなっと思った。けど、芽衣が頭に過り意味はないにしても恋人がいる人がこんなことしちゃダメだ。
お姉ちゃんが私達の会話を聞いて振り向き私に対して睨みつけてきたせいもある。
改札口についた私達は切符を買い、電車に乗り込む。反対のドア側に固まって立ち、みんなワクワクしながら話し始めた。
夜が楽しく、窓から見える華やかな街並みにテンションが上がる。私達が行く神社が見え、私は沢山の露店に興奮した。
「うわー、露店がいっぱい」
「水希、露店はお参りをしてからね」
「えー、クレープ食べたい」
「がっつかないの」
お姉ちゃんに嗜められた私を優香ちゃんがクスクスと笑っている。
「優香ちゃんは何食べたい?」
「りんご飴」
「あー、りんご飴もいいね」
「私は甘酒が飲みたいー」
「望、おっさんみたい」
「何でよ!優希も甘酒好きでしょ」
露店には食べたい料理が多く、さっきハンバーグを食べたけど(半分はお姉ちゃんに食べられた)お腹が減ってきた。
駅に着き、みんなで星が綺麗だねーと言いながらガヤガヤする街並みを歩く。
灯りで明るく照らされた神社にみんな更にテンションが一気に上がっている。はしゃいだ私達は携帯で写真を撮りまくった。
もうすぐ除夜の鐘が鳴る。お参りをした後、携帯を見ながらみんなでカウンドダウンをし0時になった時、みんなで手を繋ぎながらジャンプをした。青春が楽しい!
ハッピーニューイヤーと大きな声で言い合い騒ぎ合う。去年は芽衣と電話をしながらカウンドダウンをした。
でも、今年はお姉ちゃん達といるから芽衣にすぐには電話ができない。きっと芽衣は私の電話を待っていたと思う。でも、今の時間が楽しくて私ははしゃいでしまった。
温かく甘い甘酒(ノンアルコール)を飲みながら、みんなで撮った写真をインスタにアップしたあと、芽衣に電話!と思い出し慌てて電話をする。
早く芽衣に「明けましておめでとう」と言いたくて芽衣が電話に出るのを待っていた。
でも、電話に出た芽衣の声のトーンが低く唐突に「何で…」と言われた。
芽衣の声に怒りを感じる。強い口調で「何で、優香がいるの!」と言われ私は戸惑う。
私の考えが甘かった。私は優香ちゃんと2人っきりじゃなかったら大丈夫と考えていた。
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