第387話
12月になり私は期末試験に向けて椅子に座り、机に向かって黙々と勉強をしている。
勉強は日々の予習と復習が大事だ。晴菜さんに勉強の仕方を教わって以来、この勉強のやり方を守っている。お陰で成績が爆上がりで、お母さんとお父さんに褒められた。
昨日はお姉ちゃんのせいで夜、あんまり眠れなかった。壁越しにずっとブツブツと声が聞こえてきたら怖くて眠れなくなる。
まさか、お姉ちゃんが小説を書いているなんて…それも変なタイトルの恋愛小説。小説を書く文才はあるとは思うけど、タイトルと作者名はおかしいと言いたい。
ねるねるね〜るって駄菓子の名前だった気がする。お姉ちゃんのセンスが私には理解できずツッコんだらショックを受けた顔をされ、ちょっとだけ心が痛み…でも、それでもだ。タイトルもやっぱりおかしいと思う。
私もごんちゃんに散々曲のタイトルを貶されているからセンスの難しさを学んだ。
くそー…勉強を真剣にしたいのに、ねるねるね〜るが頭から離れない。私は一度頭を切り替えるために休憩を挟むことにした。
椅子に背中を預けながら机の上に置いていた携帯を手に取る。丁度ひかるからLINEがきており私はアプリを開くと…驚愕した内容に危うく椅子から転げ落ちそうになった。
文章に芽衣の名前が書いてあるから、ひかるは芽衣に送ったつもりのLINEを私に間違えて送ったみたいだ。
私は震える手で携帯をもち、2人はこんなやりとりをいつもしているのと汗を垂らした。
私にとってもキツい内容で、とてもごんちゃんにはとても見せれない内容だった。
私は心の中でごんちゃんにファイト!っと強いエールを送る。それにしても、ひかるの思いがけない直球の言葉に絶句した。ひかるって、意外に…毒舌なのかな。
私はまだ気づいていないひかるに一言、「大変だね…」と送る。これ以上の言葉が思いつかず私からはアドバイスなんてできない。
芽衣も最初はこんな風に思っていたのかなと頭を抱え、私はベッドの上でのたうち回る。
初めての時は経験がないから上手くなんて出来ないと叫びたい。それに、無我夢中だったし…必死なんだよ。必死すぎて心臓がこれでもかと痛いくらい動いてキツいの。
だから、大目に見て欲しい…お願いします。
そう言えば、さわちんも未来ちゃんに同じことを言われていたような気がする。私はさわちんとごんちゃんの気持ちが凄く分かるから苦しい。
ベッドの上でバタバタと暴れ、休憩どころじゃなくなった。きっと、ごんちゃんは初めての行為で真剣だと思うし、頑張っていたと思うけど…難しい!超難しい!
そんな、雄叫びをあげたいのを必死に抑えている中、私の携帯が鳴る。相手は当然ひかるで私は電話に出るか悩んだ。
ひかるとまともな精神で会話を出来る気がしないし、ごんちゃんのことを考えると私まで辛くなってくる。ひかるの気持ちも分かるから気持ちがぐちゃぐちゃだ。
一度深呼吸をして私はベッドに放り投げた携帯を手に取る。声がうわずらないよう喉を調節するため歌手みたいに一度「アー」と喉を震わした。
大丈夫、大丈夫と気合いを入れ、「もしもし」と声をだす。どんな話をしようかと考えているとひかるに「違うから…」「嫌じゃないの…」と今にも泣きそうな声で言われ私の気持ちが落ち着いていった。
「ひかる、大丈夫だよ。だから、落ち着いて」
「あの…痛かったから、、だから芽衣ちゃんに相談したくて」
「うん…分かってる」
今から過激な話にはならないから安心して欲しい。私にそんな余力なんてない。とてもデリケートな話すぎて、彼氏側の私にとって辛い話だからだ。
「まーちゃんの力が強くて…」
「それは…痛いよね」
「でも、ちゃんと愛は感じたよ!」
「うん、ごんちゃんはひかるのこと大好きだからね」
もう私にはこれぐらいしか言えない。後は芽衣にバトンタッチしたくて、芽衣に相談するといいよと伝えた。
これ以上は無理、無理すぎる。今にも倒れそうでノックダウン寸前だった。
「まーちゃんには言わないで…」
「言わないから安心して」
「うぅ、、愚痴なんて最低だよね」
「だ、、大丈夫だから!初めてなんだし、感想なんて人それぞれだよ!ほら、あのね、えっと、、今はごんちゃんがヘタくても上手くなる可能性もあるし!きっと、回数を重ねていけば、大丈夫だと思います…」
変な汗が頭に額に背中に出てきてフラフラする。どうしても自分に重ね合わせ、芽衣もだったらと考えてしまい絶望感に襲われる。
誰か助けてーと叫びたくて、私はフラフラとお姉ちゃんの部屋にいく。私は這いずりながらお姉ちゃんに携帯を渡し…ノックダウンした。これ以上、無理!
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