第380話

やっと、やっとで私の誕生日の前日。私はこの日を迎えるまでビクビクしていた。

頬を叩かれ、腕を木の棒で叩かれ、背中を木の棒で叩かれ、木の棒を投げられ、私の体はアザだらけで大変な目にあった。


だから穏やかな日々を過ごしていても何か起こるのではないかと怯えていた。

でも、ここまできたら大丈夫。明日、私は憧れの17歳になる。やっと楽しみにしていた日が来た。隣には芽衣がいるし幸せだ。


芽衣が私の体に隙間なく引っ付き、私は芽衣をぎゅっと抱きしめる。芽衣の匂いと柔らかい体が私を幸せで満たしてくれる。

お姉ちゃんが隣の部屋にいるけど、今日は我慢をしない。芽衣には我慢してもらうことになるけど明日は私の誕生日だから許して欲しい。



「芽衣、寒くない?」


「水希が暖かいから大丈夫」


「あのね…もう一回いい?」


「水希の好きにしていいんだよ」



さっきまで芽衣に沢山キスをして、芽衣の肌を堪能して、芽衣をむふふして興奮した。でも、芽衣の体は中毒性が高くまた味わいたくてすぐにウズウズする。

お許しをもらった私は芽衣に覆い被さり、首元に一度キスをする。手を大好きなお胸の上に置き私は無我夢中で芽衣をまた抱いた。


なんて幸せなんだろう。好きな人を抱けることがめちゃくちゃ幸せで芽衣への好きが止まらない。ずっと触れたくて、私のせいで汗ばんだ芽衣の肌にキスをする。

芽衣の肌は甘く、つい食べたくなる。歯で甘噛みをし、芽衣が「ダメ」と言うまで唇と歯と舌で堪能した。


もうすぐ日付が変わる。自分の誕生日を好きな人と過ごせたことで最近起きた嫌なことを忘れられる。

高山君ともちゃんと話せたし、諦めてくれて良かった。でも、高山君に頭を下げられて謝られたのは申し訳なかった。

高山君的にはちゃんと彼女に礼儀を通そうとしていた。私は酷い目にあったけど。



「水希…キスしたい」


「うん」



体を上に戻し、一度口を拭う。芽衣を見つめ、顔を近づけていくと芽衣の腕が私の首に回る。これは芽衣に愛情がこもりまくったキスを送らないといけない。

芽衣の口を私の口で覆う。普段はあんまりこんなことしないけど、一つ年齢を重ねた私は大人ぶって大人の行為をする。


なんか変な感覚だ。まだ数回しかしたことないから互いに緊張して、上手くできない。

必死に求め合うけど呼吸を上手くできない私達は我慢できず一度唇を離し呼吸をする。

まだ、私達には早いのかもしれないけど慣れることは必要だ。

だから、また私は芽衣にキスをする。慣れるまですればいつかこの行為が普通になる。



「はぁはぁ…待って」


「無理」


「水希、お願い」


「どうしても…?」


「バカ…ダメなんて言えなくなった」



芽衣に何気に私に弱いところがある。可愛い芽衣に私が満足するまでキスをする。今日はもう私の誕生日だ。我儘を止めない。



「芽衣、今日だけは私の我儘を許して」


「うん」


「芽衣、愛してるよ」


「私も愛してる」



今日は私のHappy Birthday。きっと来年も再来年も永遠に芽衣と誕生日を過ごす。

これは確定事項であり、確定した未来。一時期は未来は未定だと怯えていたけど、今は自信がある。私と芽衣はずっと一緒だ。


もうすぐ秋から冬に季節が移行する。私の誕生日が来るともうすぐ1年が終わると認識させられる。

来年には3年生が卒業してしまうけど、もう寂しがらない。先輩達と外で会えば良いだけ。

私達が学校を卒業しても、さわちん達との友情は変わらない自信があるし、私次第だ。


お姉ちゃん達の卒業祝いをそろそろ練らないといけないな。お世話になった先輩達にしっかりお礼を言いたいし、送り出したい。

今度、さわちんやごんちゃん達に声を掛けよう。きっとみんな、賛同してくれる。



「水希、考え事してるでしょ」


「あっ、ごめん…」


「今は私のことだけ考えて」


「へへ、うん!」



まだ、夜は長い。私達の楽しみはまだまだ続く。もっともっと芽衣を感じたいから私にたっぷりの愛情を頂戴。私も倍にして愛情を送り返すから。



「水希…」




「水希…好き」




「大好き」



めちゃくちゃ幸せだな。

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