第381話
Kyoko side.01
今日は水希の誕生日の次の日。今日の為に考えたサプライズイベントを行う。
だけど、準備がなかなか終わらない。みんなでカフェの貸切ルームを借り、飾り付けをしているけどみんなが持ち込んだ量が多く乱雑な飾り付けになってきた。全くの統一感なし。
菜穂のしきりでみんな動いているけど、話しながらやっているし水希へのサプライズが嬉しすぎるのか顔がニヤケすぎだ。
水希がみんなから愛されている証拠だけど、サプライズパーティーの準備が終わらないと水希を呼べない。それに、芽衣ちゃんもワクワクしながら私達の連絡を待っているはずだ。
「みんなー、飾りつけ急いでー」
「はい!」
可愛い後輩ちゃん達は菜穂の言葉を守り、黙々と手を動かす。基本、話しながらやっているのは3年生で、元生徒会組は優雅な佇まいで飾り付けをしオーラが眩しい。
私は今日、元生徒会組と話し改めてこの時の生徒会が最強と言われていた所以を知る。
菜穂も水希も凄い。私と同じ歳だけどこの眩いぐらいの光るオーラを放つ元生徒会組と普通に話し仲が良いなんて尊敬する。
特に早川さんは美人で、今日近くで初めて挨拶し、あまりの美人さに言葉を失った。
流石、学校一の美女。でも、面白い変な子。
「優希、どう似合う?」
「ははは、何それ!」
「見て、見て、眉毛が動くの」
「もう、笑わさないでよー。飾り付けしてる手が止まっちゃう。恵梨香、望に面白いパーティーグッズ渡さないで」
元生徒会のメンバーは顔は最強なのに、話すとフランクで意外に面白い人だった。
私の学校は3年間クラスが変わらないからクラスが違うと部活以外では同学年であっても接点が生まれない。
今日はほぼ初めて話すメンバーばかりで少し緊張したけどすぐに打ち解けられた。
みんなで水希の話をし、距離を簡単に縮められたから水希は偉大な存在だ。
先輩後輩関係なくみんな和気あいあいし、みんなで水希のために頑張っている。
菜穂も妹の水希のためにしきり、ただ…菜穂が持ってきたお菓子が微妙すぎて苦笑いだ。
柿の種ってお酒のおつまみだよね!
「菜穂、何でこんなには柿の種を買ってきたの…それもピーナッツ入ってないやつ」
「水希が一番好きなお菓子なの。それに、ピーナッツは柿の種の邪魔だっていつも残して、これじゃないとピーナッツを私が食べる羽目になっていつも大変なのよ」
「えー、変だよ!ピーナッツが美味しいのに。それに水希の好物って甘い物かと思ってた。まさかの柿の種…」
水希ってやっぱり変わってる。チョコが一番好きそうなのに、実は本命が柿の種。
まだまだ水希の知らない部分が多く、驚いた。そして、菜穂の水希への優しさを知る。
「さぁ、そろそろ水希達を呼ぶわよ。最終チェックお願いねー」
「はい!」
楽しい楽しい宴の始まりだ。水希のサプライズ誕生日パーティーは総勢13名+水希で行う。みんな、水希のことが大好きなメンバーばかりで盛り上がっている。
受験生の3年生にとっても息抜きになるし、部活を引退して以来、なかなか水希に会えない。前は毎日のように会えていたから、会えない日々が続くと寂しさが募る。
「恭子、これ被って」
「えっ…何でこれ?」
「だって、サプライズパーティーなんだから水希を脅かさないと」
確かにサプライズパーティーだけど、今日は水希の誕生日を祝うパーティーだ。菜穂に渡されたお面は怖い顔のイラストが描かれており、これでは水希をただ脅かすことになる。
やっぱり、菜穂も変わっている。姉妹揃って思考回路が少し変で、いや…かなり変だ。
「みんは、お面はつけた?灯りを消すわよー。クラッカーを鳴らす準備してね」
私は不安に駆られる。菜穂が考えたサプライズの仕方はお化け屋敷なのでやる恐怖のサプライズみたいだからだ。
でも、ここまできたらやるしかない。私達は暗くした部屋で息を潜め水希を来るのを待った。まるでお化け屋敷の幽霊役として。
・・・・水希はいつ来るのだろう?菜穂が芽衣ちゃんにGOサインを出してもうすぐ来るはずなのになかなか水希達が来ない。
お面を付け、しゃがみ込んでいるのに疲れた。お面のせいで息苦しいし、外したくなってきた。みんなもモゴモゴと苦しそうだ。
「はぁ、お腹空いた〜。芽衣、電気どこだろう?灯りがついてない部屋なんて珍しいね」
やっと、水希達が来た。これは私達を待たせたお仕置きをしなくてはいけない。
「あっ、これかな?あれ…でも、柔らかい何かがある。クッション?」
「あの…水希、、」
「えっ?何でひかるの声が…」
菜穂が水希とひかるちゃんの掛け合いに慌てて電気を付けた。私達の目に入ったのは水希の手がひかるちゃんのお胸の上にあり、顔を赤らめたひかるちゃんを見た朝倉さんが雄叫びをあげる。そして、みんなが一斉に水希に制裁を加える。可哀想だけど…仕方ない。
「痛い!痛い…って誰!怖いー!えっ、芽衣。ごめんなさい、ごめんなさい。許して、違うから。芽衣ちゃん、ごめんって」
みんな怖いお面を付けたまま水希に制裁を加え、芽衣ちゃんはお面と同じぐらい怖い表情をし制裁を加えている。
私は出遅れた、だから傍観者となり水希に手を合わせた。不可抗力な不幸に対して。
「水希ー!よくもひかるちゃんの、、お、お、、お胸を!何でいつも水希が先に!」
「えっ?ごんちゃん!何で…って痛いー。やめてよー、ごめんって!不可抗力だよー」
揉みくちゃにされている水希をみんな笑ってみている。言っとくけどこれは暴力ではない。制裁だ。頬を引っ張ったり、脇をくすぐったり、芽衣ちゃんはボディーブローを入れていたけど愛の強い制裁だ。
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