第271話

今日も天気が良い日で青空が眩しい。だけど、学校に行くとごんちゃんの目が赤くごんちゃんの上だけ曇り空の天気だ。

だけど、すぐにHRが始まり声を掛けれなかった。席も遠いし、2年生になって芽衣とも席が離れてしまった。休み時間に芽衣の元へ行き話をしているけどすぐに話せない距離がもどかしい。


真剣に授業を聞くと先生に言っていることが分かってくる。ここは大事な所だなって教科書にマーカーで線引きをし、晴菜さんに教わった授業の聞き方を実行する。

晴菜さんのお陰で勉強が嫌いで嫌々受けていた授業の聞き方が180度変わり、より高校生活が楽しい。


だけど、今日はごんちゃんが気になる。休み時間になると、すぐに何処かに行ってしまう。芽衣も気にしているみたいで不安そうな顔をする。

やっとお昼休みになり、お弁当を持ってごんちゃんの所に行くと生徒会室で食べない?と言われ3人で向かった。



「水希。私の目、赤いかな?」


「少しだけ赤いかな」


「やっぱりかー。休み時間のたびに泣いてたら目は赤くなるよね」


「ごんちゃん、何かあったの…?」



きっとリナさんのことだろうと思ってはいた。だけど、当たると悲しい。

昨日、ごんちゃんはバイト先でリナさんに謝られたらしい。「どうかしてた…」って。

はっきりとは言われてないみたいだけど、ごんちゃんの気持ちに気付いていたみたいだ。

リナさん、ダメだよ…ごんちゃんに振り向くつもりがないのにそんなことするのは。



「きっと、無意識に見てたのバレたのかなー。いつの間にか手が止まって見つめていた事が多かったし」


「相手になんて言われたの…?」


「彼氏と仲直りしたよって言われた。後は…良い恋をしてねって。きっと、私以外の人に恋をしてってことだよね」


「そっか…」



ごんちゃんに何て言ったらいいのか分からない。芽衣も苦しそうな顔で黙り込んでいる。

ごんちゃんの話を聞くことしかできないよ。



「失恋したから諦めようとしたのに…キスなんてしてほしくなかった。やっと、気持ちを認めて諦めるって決めたのにキツイよ。何で私にキスなんてしたのって言いたかった…理由をちゃんと聞いて早くこの気持ちにケリを付けたかったのにバイトを辞めるって言われてさ、何も言えなくなったよ」


「ごんちゃん。そんな恋、早く忘れちゃえ」


「芽衣、ありがとう」



芽衣が泣いている。ごんちゃんの想い人のリナさんは台風のような人だ。引っ掻き回して嵐が過ぎ去るかのように消える。取り残されたごんちゃんは嵐の後の後片付けをしないといけない。

砕け散ったごんちゃんの恋は片付けるのに時間が掛かる。新しい恋に行くまできっと嵐の痕跡で胸が痛むだろう。



「年上が嫌いになりそう…」


「ごんちゃん…唐揚げあげる!」


「私も大好きな卵焼きあげる」


「芽衣、水希ありがとう。だけど、水希…卵焼きよりウインナーがいい」


「分かったよ!卵焼きもウインナーもあげる!」



最後に食べようと思っていた大好きな卵焼きをごんちゃんが美味しそうに食べてくれたから満足だ。きっと片付けが終わったら良い恋が出来るはず。

リセットを…掛けたら大丈夫だ。あれ、、リセット…って言葉がなぜか私の心を曇らせる。何でだろう、前向きな意味なのに。



「あっ、水希!いい加減、曲の歌詞書いてよ!」


「試験が終わったら書くから待ってよ」


「ごんちゃんの新曲?」


「そうだよー。今回はバラードなんだ!芽衣、気合入れて作ったから楽しみにしててね」


「うん、楽しみ!」



ラブソングの作詞を要求されて、私は悩んでいる。ミクロモザイクで芽衣との思い出を歌詞として書いた。発想や語彙力がない私にとって歌詞を書くのはとてつもなく難しい。だからこそ、実体験や思い出を何とか歌詞にして書けたんだ。


うーん、ミクロモザイクは芽衣と付き合う前の感情を歌詞にしたから、、次は付き合ってからの感情を歌詞にしたらいいのかな。だけど、それは恥ずかしい。

きっと、芽衣が好きーって言葉しか出てこない。文章力が無さすぎて嫌になる。



「あっ、水希。タイトルちゃんと付けてね」


「分かってるよー」


「前回、タイトルいるの?って聞いてきたくせに」


「タイトルって難しいし、歌詞で一杯一杯でそれどころじゃなかったの」


「じゃ、今回はタイトルから考えたら。イメージ湧くかもよ」


「確かに…そうだな。今度、考える!」



簡単にタイトルなんてすぐには思いつかない。ごんちゃんの英語のタイトルみたいなカッコいいやつなんて到底思いつかないし…うーん、だったらザ・日本語のタイトルにしよう。

この前、思い浮かべた歌詞は…桜だったから〈櫻〉とか?安易すぎるかな…?

一応、漢字を変えてみたけど、、それかひらがなで〈さくら〉とか。


うん、なんか良い歌詞が浮かんできそうだ。タイトルがシンプルだから、今だからこそ書ける歌詞を書きたい。

後はごんちゃんに貶されないよう頑張ろう。きっと、、文化祭で歌わされる。ボーカル希望の子、軽音部に入ってこないかな。

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