第270話
浜辺を歩きながら芽衣と去年の夏の思い出の話をした。苦しかった夏祭りや、やっと付き合えた夏休みを回想する。
私の頭の中で波の音と一緒にミクロモザイクがBGMとして流れ、芽衣と出会えたことに感謝をする。
平凡な人生が楽しい人生になり毎日が楽しい。もちろん苦しい時もあったけど、それを乗り越えて更に幸せになれた。
芽衣を後ろから抱きしめ海を眺める。憧れていたシュチュエーションで、少女漫画で見たシーンをいつかやってみたいと思っていた。
芽衣が小さいから私の腕の中にすっぽり入る。私の身長は平均だと思うけど芽衣が小さくて真里ちゃんの気持ちがよく分かる。
可愛いって何度でも言いたくなる。誰からも可愛いって思われる可愛さが羨ましい。芽衣は私に持ってない物を沢山持っている。
「芽衣」
「何?」
「生まれてくれてありがとう」
「照れるよ///」
「出会ってくれてありがとう」
「うん」
「恋人になってくれてありがとう」
「うん!」
いつか「一緒に住もう」や「これからもずっと一緒にいて下さい」とプロポーズと変わらぬ言葉を言いたい。いつか…きっと親に芽衣との関係を言わないといけないだろう。
どうなるか分からないけど私は変わらない。芽衣の両親の反応が怖いけど、この愛を貫きたい。だけど、私はどれだけの物を芽衣にあげれるだろう。
私のせいで諦めないといけない物の方が多いかもしれない。私と付き合ったことを後悔してほしくないから私は人生を賭けて頑張り、芽衣を幸せにしないといけない。
高校2年生の考えにしては重いかもしれないけど、早くから決めないと乗り越えるものが多すぎる。絶対に乗り越えないと私は芽衣と一緒に入れない。
「ミルマロだ〜」
「美味しそうだね」
「水希も飲めたらいいのに」
「牛乳が甘いのダメだから…」
甘くないマシュマロでもあれば…ってそれはマシュマロではないか。私はコーヒー牛乳も苺ミルクもフルーツ牛乳も飲めないから銭湯に行くと普通の牛乳しか飲めない。
お姉ちゃんは沢山の選択肢があり、普通の牛乳を飲みながら羨ましく見てた。だけど、試しに飲んでみると舌が受け付けない。
悲しい。芽衣が美味しそうに飲み、良い匂いがして羨ましい。甘い物がこんなに大好きなのに、なんで牛乳だけダメなのかな。
マシュマロも牛乳も大好きなのにって思いながらマシュマロを追加注文してマシュマロだけ食べる。うん、マシュマロが美味しい。
「水希、幸せな1日だった」
「もうすぐ試験だけど、日曜日は息抜きにデートしようね」
「する!」
「勉強頑張らないとなー。生徒会長として赤点は阻止したい」
「前回、赤点無かったし大丈夫だよ」
「うん、勉強頑張る」
久しぶりに芽衣と遠出をして、最高のリフレッシュと最高のデートが出来た。連れてきたかったお店にも来れ活力が漲る。
温かいココアが美味しい。このお店に連れてきてくれた晴菜さんに感謝だ。私のお気に入りのお店になった。
今日は海とカフェに行き、時間の進みが早く芽衣を家に送る頃には外が暗くなった。
もっと一緒にいたけど明日は学校だし、試験勉強をしないといけない。
帰ったら昨日の続きの所から勉強を頑張ろう。最近、英語と数学の勉強が楽しい。
「芽衣、また明日ね」
「うん」
「夏休みさ、旅行に行こうね」
「行く!絶対だよー」
「うん、温泉に行こう」
芽衣との未来の約束にワクワクする。夏祭りのとき予定は未定と一緒だと落ち込んでいたけどやっぱり未来の約束は嬉しい。
家に帰り、夕食とお風呂を済ませ日課の筋トレをする。サボったら恭子先輩に怒られる。
一度、台所に行き温かい紅茶を入れた。勉強する時は甘い紅茶が脳を動かしてくれる。
紅茶を机の上に置き、教科書を開く。桜の花びらで作った押し花の栞を置き勉強をする。
晴菜さんが家庭教師として来る日までに自主勉強を頑張りたい。晴菜さんの上昇志向は私をやる気にさせてくれる。
夢がある人が近くにいると私も頑張ろうと思えるし、こうなりたいと励みになる。
黙々と勉強をし、紅茶を飲みながら少しだけひと休憩をする。今回のテストは80点台を取りたいなと考えながら携帯を触った。
インスタを見るとHさんの名前がHARUに変わっている。プロフィールの写真も青空から夕暮れの空の写真に変わっていた。
でも、写真はまだ一枚も投稿されていない。
私と芽衣のインスタは新しい写真が増えている。でも、晴菜さんの写真が一向に増えないのはそこまでインスタに興味がないのかな。
お姉ちゃんは苦手だって言っていた。一言、「面倒くさい」と言われ苦笑いした。
私にとってインスタの中の写真って思い出写真だ。時々、振り返り懐かしむ。
リセットをかけた晴菜さんの思い出写真は無くなってしまった。mさんの時の写真もHさんの時の写真も全てリセットされた。
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