第254話

やっと生徒会の引き継ぎが終わった。みんなでお疲れ様と言い合い、急いで芽衣にLINEを送る。早く芽衣に会って癒されたいよ。



「みんな、生徒会頑張ってね」


「頑張ります!早川先輩、分からない事があったら聞きにいってもいいですか!?」


「もちろんいいよ〜」



早川先輩の一言にすぐに反応するごんちゃん。忠誠心の高いワンコみたいだ。

あー、でも今日は本当に疲れた。体がバキバキでストレッチを兼ねて体を動かしていると、真里ちゃんに体の痛みを心配された。

今日はずっと立ちっぱなしだった。生徒会長の椅子は真里ちゃんがずっと座ってたし。



「真里ちゃん、気にしなくてもいいよ」


「すみません、、」


「いや、本当に…」



これは本音だよ。朱音ちゃんがね、こっちを見開いた目で見るから怖いの。でも、真里ちゃんがモテるのは凄くわかる。

美人だし紳士的で優しい。これはライバルが多そうだ。朱音ちゃんの目からは真里に惚れたらユルサナイってビームが送られてくる。


心配しなくても大丈夫だよ。私には芽衣がいるし、多分だけど…真里ちゃん彼氏側だよね?そんな感じがする。

身長も真里ちゃんの方が大きいし、朱音ちゃんのぞっこん具合から見ると恋する乙女度が強い。常に真里ちゃんを見る目がハートだ。



「水希、お待たせ」


「芽衣。ごめんね、待たせて」



やっと私の大事な彼女の登場だ。前生徒会、新生徒会のメンバーはほぼ運動部で、みんな身長が高い。可愛い松村姉妹でも160センチ以上ある。ごんちゃんも何気に身長が高いし、だから芽衣の身長の低さが余計に際立つ。

150センチの小柄で可愛い芽衣。大きい人からしたら愛でたくなる対象だ。



「可愛い…」


「えっ?」


「あっ、すみません///!」



真里ちゃんの口から「可愛い…」って言葉が放たれ、顔を赤くしながら謝ってきた。

私は動物的な反射神経なのか「えっ?」て言った後、直ぐ芽衣を隠した。本気の言葉だから危ないと直感が走ったんだ。



「あの…すみません。私、身長が大きいから小さい人に憧れがあって、、小さい物が好きなんです///」



確かに真里ちゃんは佐藤先輩の次に大きい。そして、大きい子が小さい子を好きになる理由も分かる。可愛くて愛でたくなる。



「先輩!その方は!?」



瞬間移動したみたいに私の前にいきなり現れた朱音ちゃん。目がギラギラして怖い…最強のライバルが現れたって顔をしている。



「芽衣は私の…彼女だよ」


「えっ?」


「えっーーーーー!!!本当ですか!?」



芽衣が驚いた声を出して、嬉しそうに笑ってくれた。新1年生以外のメンバーはみんな私と芽衣の関係を知っている。

朱音ちゃんと真里ちゃんを関係を知ってるから言っても大丈夫かなって思ったんだ。


ただ、何気にやっぱり傷つく言葉を言ってくる朱音ちゃん。先輩としての威厳欲しいぞ!

朱音ちゃんは驚いた後、「こんなに可愛い人が…」ってぽつりと言った。

分かってるよ…芽衣は可愛くて私には勿体無い人だって。だけど、奇跡は起こるの!



「爽子ー」


「あっ、未来」


「可愛い…」


「はぁ!?」


「あっ、すみません!口癖なんです!小さい人を見ちゃうとつい口走っちゃて」



今日はさわちんの為に残っていてた未来ちゃん。芽衣よりは高いけど153センチしかないから小さくて可愛い。うん、可愛くて小さい人を見ると口走りたくなるの頷ける。



「未来は私のだぞー!」


「さわちん、落ち着いて」


「水希!だって、人の彼女に手を出そうとしてる!」


「してません!私は朱音と付き合っているので!・・・あっ、、」



いつのまにか暴露大会みたいになってしまった。でも、新生徒会として壁を取り壊せて良かったかもしれない。

怖い顔をしていた朱音ちゃんが照れながらモジモジしてて、暴露された事が嬉しそうだ。

だけど、松村先輩以外驚いていて新生徒会大丈夫かなって…?私とは真逆の感情が見える。


あれ…もしかして波乱が起きる生徒会になるの?壁が取り壊せて良かったと安心したのに、先輩達に不安視されている。

ごんちゃんは隅っこで私だけ恋人がいない…って悩んでいるけどほっとく。

もしかしたら、真里ちゃんは小さい子に可愛いを連発して勘違いさせちゃうタイプかも。


ふっ、これこそタラシだよ。私はみんなに、可愛いなんて、、って思っていたらみんなが私を見つめ「水希2号だ」って口を揃えて言うから勘弁して欲しい。

みんなに、はぁ、、っと大きくため息をつかれ今年の生徒会は大変そうって顔をされた。



「そろそろ、帰りましょう。疲れたわ…」



お姉ちゃんの一言でみんな帰ろうとする。さわちんは真里ちゃんに威嚇しながら帰り、朱音ちゃんは芽衣と未来ちゃんに負けません!って対抗心剥き出しの顔をしている。

ごんちゃんは早川先輩の後ろを嬉しそうに歩いていて忠犬ハチ公みたいだ。


私は芽衣と手を繋ぎ、ゆっくりと歩き出す。みんなの前で彼女って言ったのが今も嬉しいみたいで甘えてきて可愛すぎる。

私は生徒会になったら、あることを実行しようと決めていた。朱音ちゃん達に関係をバラしたしこれで問題なく動ける。きっと、副会長のさわちんも私の提案に乗るだろう。


生徒会で待ってもらう時、芽衣と未来ちゃんを生徒会の部屋で待ってもらう!丁度ソファがあるし、教室で1人待ってもらうのが心苦しくて…それに芽衣を見て癒されたい。

生徒会長として威厳はないけど、職権濫用はすると決めていた。私が生徒会長だ!


真里ちゃんは私達の彼女に《可愛い…》と言ったから逆らえないし、朱音ちゃんは真里ちゃんがOKを出したら諦めるだろう。

何度も言う!私が生徒会長!これぐらいの職権濫用許して下さい。生徒会室は手動でエアコンが付けれるけど、教室は放課後消されちゃうの。大事な彼女に暑い・寒い思いをさせたくないのが恋人ってものでしょ。

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