第224話
あっ、、晴菜さんに笑われた。だけど、甘えるようにまた横から抱きつかれて照れるしかできない。
耳元で「お腹空いたの?」って言われ、顔を熱くしながら頷くとみんなでご飯を食べに行こうと話になった。
晴菜さんが奢るからと言うけど、時間も遅いし帰らなくて大丈夫なのかなって思うけどお腹は私の心の空気を読まず鳴り続ける。
結局、4人で近くのファミレスに入り私とお姉ちゃんはご馳走になることになった。
「足りなかったらもっと頼んで良いからね」
「大丈夫です。やっとお腹が満たされました」
「本当?水希ちゃんのお腹はもう鳴ってない?」
「鳴ってないです///」
ハンバーグとエビフライを食べれて私の胃袋は満足だ。お腹がめちゃくちゃ空いていたから、揚げ物の油が胃に染み込んでいった時の幸福感が凄かった。
デミグラスソースのハンバーグ最高。お母さんが作るハンバーグは和風が多いから洋風のハンバーグが食べたかったんだ。
「あの、、合コンは大丈夫でしたか?」
「ただ、食事をしただけだよ。水希ちゃん、心配してくれてありがとう」
「良かったです…」
「あっ、菜月は後でお説教ね」
「晴菜、ごめんってー」
晴菜さんが明るく笑っている。本当にただ食事をしただけみたいだ。はぁ、、良かったよ。お姉ちゃんも安心したみたいで黙々と食事しているし、やっとお腹も満たされた。
明日は日曜日でバイトはお昼からだし、のんびり寝られる。やっと一つ不安要素が減ってホッとした。
ただね、私の足がさっきから暖かくて動かせなくて緊張する。私の前に座っている晴菜さんの足に私の足が挟まれている。
温めてくれているのかな…もう充分に温まってるから大丈夫なんだけどな。
逆に緊張して変な汗が出そうだ。ちょっと足で遊び始めたし、晴菜さんに遊ばれてるよ。
「水希、食べ終わった?」
「うん」
「晴菜さん、ご馳走様でした。私達、そろそろ帰ります。晴菜さん達はどうやって帰るんですか?」
「私達はタクシーで帰るよ」
「晴菜さん、ご馳走様です」
「水希ちゃんのお腹が満たされて良かった」
私は晴菜さんにいつか奢りたいのに奢られてばかりだ。やっぱり4歳も年下だと、なかなかリードできないし妹みたいになる。
仕方ないのは分かってるけど、守るって約束したのに実行できてない。
今日もヘマをやらかして、ご飯を奢って貰って何しに来たんだろう。結局、何もなかったみたいだし逆に気を使わせてしまった。
それにしても、、岩本さんが私をジッと見てくる。私の顔にご飯粒でもついているのかな?触ってみたけど分からなかった。
「あの、、それじゃ」
「水希ちゃんって、恋人いるの?」
「えっ、、はい」
「そっか。残念」
急に岩本さんに恋人いるのか聞かれてビックリした。それに残念ってどう言う意味なの?
だけど、すぐに意味が分かる。ただ、私からしたら戸惑ってしまう。
「水希ちゃんが晴菜と付き合ったら私も安心できるのにな」
「菜月、、やめてよ」
「なんてね、ごめん。でも、水希ちゃんが晴菜のそばにいてくれるだけで安心出来るのは本当なんだ」
ひたすら戸惑い、何て返事しようか悩んでいると晴菜さんがタクシーを捕まえ、岩本さんを車の中に押し込む。
最後に晴菜さんは「気にしないでね…」と言い帰って行ってしまった。
はぁ、、ビックリした。岩本さんの顔が真面目な顔していたから驚いたよ。きっと冗談だとは思うけどドキドキする。
お姉ちゃんも驚いたみたいで動きが止まってるし、、さっきから頭を抱えながら静かに何かを考え込んでいる。
「お姉ちゃん、帰らないの?」
「疲れた…。帰ったらミルクティー入れて」
「えっ…はい」
ナチュラルに命令されたけど、お茶も奢ってもらったしあの場に1人だったらキツかったから助けられた。
「水希、、芽衣ちゃんとは、、」
「何…?」
「何でもない、、」
お姉ちゃんは私と芽衣の関係を聞きたいんだと分かってるけど、、まだハッキリとは言えない。ずるずるにはなりたくないけど、まだ早い気がするんだ、、
芽衣と筒井君の関係が分からない。もしかしたら、、友情を超えてるかもしれないって不安が拭えなくて心に余裕がない。
「よし、帰るか」
「うわ、、早いって。待ってよー」
「水希、遅いー」
今日は久しぶりによく眠れた。一つ不安要素がなくなったからかもしれない。
夢の中の芽衣が可愛い。芽衣が笑っている。私はどれぐらい笑っている芽衣を見ていないのだろう。私のせいで見れていない。
この笑顔が大好きで、ずっとそばで見ていたかったのに凄く遠いよ。芽衣に触れたい、キスしたい、芽衣が欲しい。
そんな願望ばかり募っていく。ふと…どこからか、お姉ちゃんの声がする。
「水希が動けば叶うよ」って聞こえてきた。
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