第219話
恋なんてクソ喰らえだ。
私は学校に戻るのが嫌で、さわちんにお願いして校門から避けるようにランニングをした。でも、そろそろ戻らないといけない。
筒井君に会うの嫌だなって思いながら、歩きながら戻っていくと、、まだ部活中なのに芽衣と筒井君が校門で話をしている。
何の話をしているのかな…私は、、やっぱり無理だ。来た道をUターンし、2人が見えなくなるまで離れ地面に腰を下ろす。
吐きそうだった。頭を乱暴に掻き、大きなため息を吐く。もし、今ここに壊していい物があれば投げつけ踏みつけている。
「あの2人…って」
「さわちん、言わないで」
「分かった…」
どんな関係なのかなんて考えたくもないし知りたくもない。もし本当に友達だとしても…心が狭い私には耐えられない。
私は男女の友情はあると思っていた。でも、芽衣と付き合って、、考え方が変わる。
人間は恋をする生き物だ。最初は友情しかなくてもいつか恋に変わるかもしれない。
まして恋から入った人は、友情になんて戻れない。でも、、ひかるとは友達になれた。
くそ…分からないよ。本当に2人の間に友情なんて生まれるのかな。
恋の経験が芽衣しかないから判断できなくて苦しい。分からないことだらけで嫌になる。
「水希、裏門から戻る?」
「うん…そうしよっか」
ヨタヨタと歩きながら、裏門からグラウンドに戻ると芽衣がマネージャーの仕事をしていた。遠くて顔の表情は分からない。
でも、普通に見える。もう筒井君は帰ったのかな?後で合流する約束でもしたの、、
もうこんな考えしか出来なくて、自分が嫌いになりそうだ。強くなりたくて芽衣と距離を置いたのに全然強くなれない。
一度、水を飲むためベンチに行き空を見上げる。春空は冬空と違い、日が暮れるのが少しだけ遅い。茜色の夕陽がとても綺麗だ。
あっ、遠藤さんがこっちを見てる。私の動きに気がついたのかいなくなった。
そうだよね、、私としてはなんとも言えない気持ちになるけど気持ちはすぐには変わらないよね。きっと、筒井君も変わってないはず。
恋から友情になるには時間は掛かる。
ひかるに聞いてみたらいいのかもしれないけどそんな失礼なこと聞けない。
でも、私も芽衣への気持ちを友情にするには1年以上掛かると思っている。すぐに愛情を友情へ気持ちを切り替えられるはずがない。
だったら2人の関係は何になるの?私はもう、芽衣の考えていることが分からないよ。
「水希、久しぶり〜」
「あっ、恭子先輩」
「やっと風邪が治ったかー。心配したぞ」
「すみません…」
恭子先輩の顔を見るとホッとする。頭をぐちゃぐちゃに撫でられて、ヘッドロック掛けられて体が痛くても嬉しい。
大好きな人達と話せることが、こんなに嬉しいなんて、、やっと笑顔になれた。
「水希、今度遊びに行こうねー」
「はい」
恭子先輩が前、言っていた。後輩とこんな風に戯れあい、ヘッドロックなどが出来るのは私ぐらいで「水希といると楽しい」って。
痛いけど、嬉しいよね。私も後輩が出来た時、こんな風に戯れあえる後輩が欲しいもん。
よし、今日は頑張るぞ。これ以上、さわちんの眉間にシワを作らせたくない。お願いだから、、芽衣を睨まないで。
もしも、、のことがあってもそれは私達の問題だ。恋は終わりがつきものだし。
ほら、今日は未来ちゃんも見学に来てるよ。そんなに眉間にシワを寄せたら、未来ちゃんが心配しちゃうよ。
私にはすることが沢山ある。部活やバイトなどに目標を決めたから頑張らないと。
「さわちん、未来ちゃんに手を振ってあげたら」
「別にいいよ…」
「じゃ、私が手を振る」
「こら、未来にちょっかい出すな!」
芽衣と一緒に帰るとき意地でも普通にする。筒井君と何を話していたのか気にしない。
「さわちん、未来ちゃんを大切にしろよー」
「当たり前でしょ」
「私は無理かも」
「まだ、、分からないじゃん」
恋をして恋を失った方が、一度も恋をしなかったより大人になれる。今はそんな気分だ。
別の意味で強くなれそう。私はもう泣かないと決めた。笑顔の仮面を付ける。もう悩んで、、泣くのがしんどい。
mさん、あなたは誰ですか?
芽衣なの?それとも全くの知らない人?いつか、mさんに会いたいです。
もし、芽衣だったらまだ諦めなくてもいいかな?待っててくれる?
春は空気が暖かく私を優しく包む。この冷え切った心も優しく包んで欲しい。
はる、、、、、、、、なさんに会いたい。
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