第217話
子供達が可愛い〜。今日は研修だから、スタッフさんのサポートするだけだけど、絵本の読み聞かせに来た子供達が私に抱きついてきたり、叩いてきたり背中に乗ってきたりで…例え痛くて重くても可愛いから何でも許せる。
ただ、4人はキツい。私の背中は椅子じゃないよ、私の背中の上で戯れあわないで。
芽衣と一緒で可愛いから何されても許せるけどね…ただ、本気で苦しくなってきた。
発展途上の胸が潰れるー、家で食べたオムライスが口から出て来そう、、
「水希ちゃん、子供に人気だね〜」
「ありがとうございます、、」
子供達に甘えられるのは嬉しい。嬉しいけど、みんな芽衣を小さくした感じで暴れん坊だ。
おんぶして欲しくて私の背中に抱きつくのはいいけど、今度は首が苦しい。
これはおんぶではなく鉄棒がわりに私の首にぶら下がっている状態だよ。
「はーい、みんな今から絵本の読み聞かせするよ。一度、床に座ろうね〜」
「はーい」
良かった、みんなゾロゾロと床にちょこんと座り絵本の読み聞かせを待っている。
スタッフさんが絵本を読み始めるとみんなワクワクした顔で物語を楽しんで、そんな姿を見てるだけで楽しい。
絵本の読み聞かせって凄い。読み方ひとつでこんなにも絵本の楽しさが違うのかって言うぐらい臨場感があるし、絵本の物語の世界に入れる。
でも、声の抑揚やアクションなどスタッフさんはちゃんと子供達の顔を見ながらやっていて私に出来るか不安になってきた。
「はーい、次はお歌を歌いましょうか〜」
「はーい」
あっ、私の出番だ。私はキーボードできらきら星を弾くことになっている。
メロディーを奏でるとみんなが一斉に歌い出した。合唱っていいな、みんなで歌うと楽しいよ。バンドと違ってお腹が痛くならない。
はぁ、時間があっという間に過ぎていく。バイトが楽しいってもあるけど、必死に何かをやるって達成感があるし大人の人達と話せるって自分を少しだけ成長させる。
バイトが終わり、私はご褒美に昨日晴菜さんに連れて来てもらった喫茶店に来た。
うん!ココアが美味しい。今日はトッピングで焼きマシュマロを頼みココアの上に浮かべる。徐々にマシュマロが溶けていき、ココアが更に贅沢な飲み物になった。
1人で喫茶店に来て、大人ぶってる感覚になるけど楽しい。幸せな気持ちになる。
あっ、そうだ。写真を撮らなきゃ。へへ、実はインスタ始めたんだ。昨日から始めたからまだこれで3枚目だけどね。
昨日は空の写真をアップした。いつか芽衣と時間の共有を出来たらいいなって。
あとは見て感動したものだったり、美味しかったものを記録して芽衣を連れていきたい。
あっ…昨日の空の写真にいいねとコメントがついている。嬉しいな。私が撮った空を全く知らない人と共有できた。《空が綺麗》ってコメントに気持ちが上がる。
このコメントが芽衣だったら嬉しいけど、芽衣は私がインスタを始めたのを知らない。
ちなみに私のアカウント名は【M】だ。水希と芽衣のM。今更ながらだけど、、未練たらしい人になっているような気がしてきた。
あれ?コメントしてくれた人も【m】だ。どうしよ、微かな期待をしてしまう。
昨日、お姉ちゃんにインスタを始めたって言ったから、、もしかしてって。
あっ、このmさんも昨日始めたみたいで空の写真を数枚アップしてる。春の空が綺麗だ。
もしかして、本当に芽衣なの?可能性的には低いと思うけどもし芽衣だったら嬉しい。
これを機に交流出来たらいいなと思い、私もmさんの写真にコメントを送った。
空は季節や天気でいくつもの楽しさを教えてくれる。芽衣と好きになって私は空の綺麗さや雄大さに気づいた。
私は中学生の頃より泣き虫になった。恋を知って涙腺が弱くなったよ。お陰で空ばかり見て、涙を乾かすことが増えた。
空には色々な景色があり、晴れ空・曇り空・夕焼け空など感情みたいに変わっていく。
もうすぐ春休みが来る。芽衣はどんな風に過ごすのかな?あー、考えるのが怖いな。
もし、筒井君と、、って考えてしまうのは私の心が弱いせいでもあり、距離を置こうと言った私のせいだけど、、怖い。
何で私は女なんだろう。もし、私が男だからと言って芽衣と付き合えていたかなんて分からないけど筒井君が羨ましい。
私が芽衣と付き合って、筒井君は二度振られているけど羨ましい。初めて性別を恨んだ。
今は恋愛に夢中だから気にしないかもしれない。でも、年齢を重ねると未来を思い描く。
その時、私は芽衣にあげれるものって何かなって考えるんだ。そんなの気にしていたら恋愛なんて出来ないって分かってる。
でも、考えてしまう。5年後、10年後、、私は芽衣の横にいるのかなって。もしかしたら、芽衣の横には男性がいて指には指輪をはめているかもしれない。
芽衣は初めてを全てくれたのに、自分に自信が持てなくて、、空が綺麗でムカつく。
何でいつも急に不安になるの…早く自信をつけたいのに。溢れそうな涙、乾けよ!
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