第182話
今日は憂鬱な土曜日。何で、こんなに日にちが進むの早いの?もう少し、ゆっくり来てもいいいのに。あっという間に土曜日が来た。
嫌だな、嫌だな…1人で勉強も嫌だけど、勉強そのものが好きじゃないから全てが嫌だ。
「はぁ…」
「水希はそんなに勉強が嫌なの?」
「嫌だ…楽しくないもん」
「水希、、これ持って行くの手伝って」
「これ?いいよ」
芽衣といつもは部活終わりに片付けるやつを少し早めに戻しに行く。はぁ、私の頭の中は勉強したくないの一点でため息しか出ない。
本当によくこの高校に受かったよね。奇跡が起きたせいで、今は苦労をしている。
「水希、ありがとう」
「うん」
「ここ座って」
「芽衣、どうしたの?」
「いいから」
あっ、芽衣に正面から抱きしめられた。頭を撫でてくれて私を癒してくれる。
芽衣は優しいな。私にパワーをくれた。学校でキスをするのいつぶりだろ?少しドキドキするけど、体がパワーで満たされていく。
「明日…いっぱいしてあげるね」
「うん、絶対だよ」
よし、パワーチャージされた。勉強、、頑張るぞ。今日頑張れば、明日は芽衣と甘い一日を過ごせる。
「戻ろっか」
「芽衣、ありがとう」
幸せだな〜。こんな最高の彼女と付き合えて私は幸せ者すぎる。芽衣のお陰で私の心はいつも温かい。
辛いことがあっても耐え、乗り切れるのは芽衣がいるお陰だ。芽衣がいるから頑張ろうと思い、強くなれる。
部屋の掃除がなかなか終わらない。昨日のうちにしとけばよかった。散らばった本を片付け、脱ぎ散らかした服を畳み、日頃の行いの悪さが私を今現在苦しめている。
明日から改善しないと毎回慌てて掃除することになる。面倒くさいからやだよー。
(ピーンポーン)
あっ、晴菜さんが来た。ってか、何でお姉ちゃんはお洒落な服を着てるの?私なんてパーカーにジャージなのに。
お姉ちゃんは今日は関係ないのに、私同様緊張している。それにしてもおかしいよね、お姉ちゃんの家庭教師で頼んだのに先に私が勉強を教えて貰うなんて。
「こんにちは〜」
「晴菜さん、お久しぶりです」
「水希ちゃん、久しぶりだね。あっ、菜穂ちゃんも久しぶり」
「お久しぶりです。妹の勉強、今日はよろしくお願いします」
晴菜さんと久しぶりに会うから緊張したけど、いつまでも緊張していたら勉強が出来ないから切り替えないと。それに、週1での家庭教師だから集中しないと勉強出来ない。
「私の部屋はニ階です。どうぞ」
「うん、ありがとう」
「あの、休憩の時に紅茶を持っていきます」
「菜穂ちゃん、ありがとう」
お姉ちゃんが珍しくお淑やかだ。いつも私に見せている姿と全く違うから気持ち悪い。
私の前では女王様なのに、今はお淑やかな王女様だ。晴菜さんは隣国の王女様で私は運が良い召使い。今日は隣国の優しい王女様の勉強会って感じがする。
「水希ちゃん、今日からよろしくね」
「はい…お願いします」
「まずはね、テストをやって貰います。問題を作ってきたから1時間でやってみて」
「えっ、、テスト」
「うん、水希ちゃんの学力や苦手な教科・苦手な部分を知りたいの」
「分かりました…」
いきなりテストなんて晴菜さん、きっとスパルタだ。まぁ、、ちゃんと勉強出来る人だから東條大学の学生なんだろうけど。
でも、美人で笑顔の裏のスパルタ感が垣間見える。嬉しそうにテストを鞄から出してきて、5教科ぶんねって渡された。
問題数は少ないけど、テストって言葉に拒否反応が出る。でも、流石卒業生。ちゃんと今現在教わっている箇所を押さえている。
とにかく私は問題を解くしかない。やるしかないんだ。でも、晴菜さんがニコニコしながら見てくる。笑顔が怖いよ…。
頭が痛くなってきた。1時間で5教科解くのは頭の切り替えしなきゃいけないし、短い時間が私を焦らせる。
晴菜さんは私の学校の教科書を見ながら、テストに向けての勉強対策を考えてくれて、きっとここは出るだろうなっとか卒業生ならではで感嘆してしまう。
「はい、1時間経ったよー」
「えー、、分からなかった所が多すぎて」
「じゃ、見せて貰うね」
ドキドキする。赤いペンで○×を付けられると思っていたら、一通り見たあと早速分析された。晴菜さんって頭良すぎるよ。
「水希ちゃんは数学が苦手だね。応用が出来てないし、あとは英語かな」
「2つとも苦手な教科です…」
「でも、暗記で覚える教科は出来てるから記憶力に自信あるでしょ」
「はい…でも、それだけです」
「英語もほぼ暗記に近いよ。ちゃんと単語の意味や基礎文法さえ理解できれば大丈夫だと思う」
何だろ、晴菜さんにそう言われるとやれる気が出てきた。私は昔から暗記には少しだけ自信がある。一夜漬けが得意なんだ。
だからこそ、日々の積み重ねがいる英語や応用がいる数学が苦手だ。晴菜さんに見事に当てられた。
(コンコン)
「あの、失礼します。紅茶です」
「ありがとう〜。じゃ、水希ちゃん休憩しようか」
「はい(やったー!!!)」
やっとで休憩できる。お姉ちゃんが入れてくれた紅茶を飲みながら休憩しているとお姉ちゃんが私のテストを見ている。
そして、呆れている。分かってるよ…テストの結果は散々だって。でも、お姉ちゃんの目はキラキラしている。
こんな風に自作でテストを作ってくれること自体凄いし、テストがちゃんとポイントを押さえた内容だったらしくお姉ちゃんが尊敬の眼差しで晴菜さんと話している。
私も晴菜さんの言う通り勉強したら、やれる気がしてきた。得意なものを伸ばそうって言ってくれたし何より、、優しい。怒られなかった、、これが大人の女性か。
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