第156話
クッキーをもぐもぐ。さわちんがジト目で私を見るけど気にしない。だって、お腹が空いてやっとありつけた大事な食事だもん。
はぁ、幸せ〜。やっぱり、ひかるの手作りクッキーはめちゃくちゃ美味しい。
「芽衣は初めての時、どんな感じだった?」
「ぶはぁ、、はっ?何言ってるの///!」
「水希が芽衣の服を脱がせたの?」
「だから、な、な、何言ってるの///!」
「もう、未来と結ばれる自信ない…未来のあの顔が忘れられない」
大事なクッキーが口の中から飛んで行ったよ。ひかるがいなくて良かったよ。まぁ、ひかるが未来ちゃんの所へ行ったから聞いてきたと思うけどやめて欲しい。
そんなこと言えるはずないし、いじけないでよ。また泣きそうになってるし、下を向いてウジウジし始めた。
「ちゃんと話し合えば大丈夫だって」
「無理だよ!未来に嫌われたし」
「分かんないじゃん。未来ちゃんの心の中をさわちんは分かるの?」
「分かんないけど、、絶対に嫌われた」
さわちんにどう慰めたらいいのかな?アドバイスとかしてあげたいけど、私が言えることはシュミレーションの大事さと相手を思いやる気持ちが大事だということだ。
ガムシャラになることは悪いことじゃないけど、相手に無理させちゃたり我慢させたりするから気をつけないと。
私はね、、大変よ。小悪魔の芽衣ちゃんはとてつもなく恐ろしい子で、無意識なのかわざとなのか私を常に誘惑する。
恋人繋ぎしながら、お胸を腕に当てられたら考えるよね。これは誘っているの?って。
でも、違ったら恥ずかしいし二択の選択で常に悩んでいる。マジで辛いから…。
「水希の余裕がムカつく…」
「何でよ」
「あー、ムカつく。未来、よくミクロモザイク歌ってるし、水希の歌声褒めるし」
「八つ当たりやめてよー」
「未来に手を振るな」
完璧に八つ当たりじゃん。勘弁してよ。イライラしている気持ちは分かるけど、さわちんの自業自得だからね。
「未来が水希のこと褒めるたびにイラつく」
「短気は損気だよ」
「そう言うことじゃない!水希はタラシだから心配してるの」
「タラシって…私は芽衣しか興味ない!」
「じゃ、ひかるは?少しも興味なかった?」
くそ、さわちんが痛い所を突いてくる。ひかるは可愛くて優しくてお菓子作りが上手で私にとって理想の女の子なんだ、、
そんな女の子に好きって言われたら誰でも揺らぐでしょ。言っとくけど、揺らいだだけだから。私は芽衣に一途だ!
はぁ、、早く未来ちゃん達来ないかな。さわちんが自暴自棄になって大変だよ。
言われのないことまで言われるし、私を褒めてくれるなんて未来ちゃん良い子すぎる。
私は万年金欠だけど、ジュースぐらいだったら奢れるから、さわちんに内緒で今度奢るね。
「芽衣達を見てくる」
今、さわちんは気が張っている。だから、落ち着いてもらう為にって思っていたのに…これは手に負えない。
未来ちゃんに私を会わせたくないとか言って、羽交い締めしてきた。痛い、痛いから!
何で私はこんな目に会うの…今日は終業式で、クリスマス・イブなのに!
私は芽衣に会いたいの。芽衣に合わせろー、私に癒しを頂戴。もう、嫌だ。帰りたいー。
2人して行く・行かせないで暴れているとやっと芽衣達がやってきた。
やった!っと思っていたのに呆れ顔をされる。えっ…遊んでいると思われた?
「水希、何してるの…」
「芽衣ー、さわちんが、、」
「未来…ごめんなさい、、」
あっ、さわちんが泣き始めた。何度もごめんなさいと言い、未来ちゃんに謝っている。
私も泣きたいよ、なぜか私は芽衣に耳を引っ張れ嗜められた。酷い!私、何もしてない。
「爽子…ごめんね。パニックになって、、」
「私が悪いから、、」
良かった。仲直りはできたみたいだ。こうやって、ちゃんと話すことは大事で一方的にどんどん愛を贈るのはダメだよ。
ちゃんと相手が受け入れる体制じゃないと、その愛は重荷になり戸惑いが生まれる。
ふぅ、やっとで帰れるよ。お腹空いたし、早くお昼ご飯を食べたい。そして、明日に備えて準備しなきゃ。
洋服選びでしょ、スケジュールの確認、プレゼントの確認などやることが多い。
「じゃ、私達は帰るね」
「あの、、高瀬さんありがとうございます」
「未来ちゃん、さわちんをよろしくね」
「はい」
「あとさ、そろそろ水希って、、痛っ!」
あっ、、今言うことじゃないよね。空気を読まなくてごめんなさい。だって、未来ちゃんずっと私だけ名字で呼ぶから寂しくて。
腕をつねった芽衣もひかるもそんな目で見ないでよ。可愛い顔が台無しだよ。
「水希ちゃん///、ありがとう」
あっ、未来ちゃんが水希って下の名前で呼んでくれた。嬉しいけど、さわちんの顔が怖い。
泣き虫ワンコから狂犬に変貌したさわちんに私は未来ちゃんに見えない位置で耳を引っ張られる。痛いー、、いくら何でも散々だ。
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