第145話

ふんふ〜ん。夜な夜な、激励会に向けてキーボードと歌の練習を頑張り、今日は朝から10円チョコを1個食べて幸せだ。

今日は陸上部の部活はお休みを貰っている。軽音部と最終音合わせをする予定で、てくてくと軽音部の部室まで歩く。


芽衣が部活が終えたら軽音部に来るからそれまでに音合わせが終わってるといいな。

歩きながら廊下で伸びをし、体をほぐす。廊下の窓から見える景色は夕日が綺麗で、でもあと1時間もすれば外は暗くなっていく。


先月より気温も寒くなり、冬が来たなって肌で感じる。もうすぐクリスマスが来てあっという間に1年が終わるよ。

月日が流れるのは早い。色々なことが起き、高校を入学した時よりは成長できたかな?



「ごんちゃーん」


「おっ、やっと来た」


「置いてったのはごんちゃんでしょー」


「だって、芽衣と話してたから」


「待っててくれてもいいじゃん」



今日は放課後、芽衣と一緒に部活に行けないからつい話し込んでしまった。でもさ、5分ぐらい待ってくれてもいいのにね。薄情すぎるよー。



「水希、早く音合わせするよ」


「歌も歌うの?」


「最初は楽器だけ」


「歌は本番の時と同じように歌った方がいい?」


「最終音合わせの時にお願い」



家でミクロモザイクの歌の練習するたび、懐かしい気持ちになる。あの頃、毎日が辛かったなって苦笑いしながら懐かしむんだ。

最近、芽衣への愛が強くなる一方で私の腕の中で笑う芽衣が世界一可愛くて、芽衣の為なら私は何でも出来る。


早く会いたいなー、さっき別れたばかりなのにもう会いたい。芽衣と付き合い始めて私は寂しがり屋になった。

毎日会っているのに、もっと会いたくて出来れば24時間一緒にいたい。それぐらい芽衣への気持ちの好き度が高いんだ。



♪〜♫〜♩〜



「うん、演奏はバッチリだね」


「GOS、難しいよー」


「ちょっと!変なタイトルで呼ばないでよ」


「いいじゃん、The Ghost on the Shoreって言いにくいもん」


「言えてるじゃん!それにちゃんと意味はあるの」



ごんちゃん、カッコいいタイトルつけすぎでしょ…タイトルの意味海岸の幽霊だからね。何、このお洒落なタイトル、、ごんちゃんらしくないない。

毎回タイトルを言うのが面倒くさくて私なりに略している。途中、英語の歌詞があるから略したいよ…英語嫌いだもん。



「ほら、次は歌も歌ってもらうからね」


「飲み物飲みたいー、買ってきていい?」


「早く戻ってきてね」


「少しは休憩させてよ」



今回の曲は2曲ともごんちゃんが作曲した曲だから気合いの入り方が違う。気持ちは分かるけど、休憩しながらじゃないとキツいよ。

歌を歌う前に喉を潤さないと、空気が乾燥してるから甘い紅茶が飲みたい。お金は使えないから生徒会室に行ってこっそりインスタントの甘い紅茶を入れてこよう。



「あ、あの…」


「あっ、遠藤さん。久しぶり〜」


「はい///あの…今日、部活は?」


「今日はね、お休みなんだ〜」



くんくん…遠藤さんと久しぶりに会話をすると甘いお菓子の匂いが遠藤さんから漂ってくる。うぅ、お腹が空いてきた。

一応、毎日10円チョコを一粒ずつ食べてるけど足りなくて、、常にお菓子に飢えていた。



「あの、、///」


「あっ、ごめん!遠藤さんから良い匂いがしたから」


「さっき、お菓子を作ったので貰ってくれますか?」


「いいの!!!?」



尻尾をふりふりと振り、嬉しくてワンコの様に飛びつきたい衝動を抑える。本当は遠藤さんにお菓子貰っちゃダメよとお姉ちゃんに言われていたけどいいよね?

無理だもん、遠藤さんから甘い匂いが感じられ…それに遠藤さんの作るお菓子美味しいか、耐えられない。


私は遠藤さんと一緒に歩き、調理室の近くまできた。あっ、ここから陸上部の活動が見れる。お菓子を取りに行った遠藤さんを待ちながら窓からグラウンドを見ていると芽衣と目が合い手を振った。

あっ、芽衣の近くにいたお姉ちゃんに早く練習に戻れとジェスチャーされた。酷いな、少しは休憩させてよ。



「あの、、お菓子です」


「ありがとう〜」


「相変わらず仲がいいですね」


「そうかな?」



お姉ちゃんとの関係をそんな風に言われたの初めてかも。私、お姉ちゃんに結構横暴な扱い受けてるけど側から見たら違う風に見えるのかな。うーん、納得いかない。


それにしても遠藤さんの手作りお菓子美味しそう〜。やっば、よだれ出そうだよ。

へへ、早く食べたいな。チョコチップクッキー、久しぶりだから楽しみだな。袋からチョコの良い匂いがする。



「あの、今日はなんで部活がお休みなんですか?」


「今度、3年生への激励会でまた軽音部とコラボするんだ」


「えっ!本当ですか!?楽しみにしてます」


「ありがとう〜、頑張るね」


「またアニメソング歌うんですか?」


「今回はね、ごんちゃん…私の友達が作った曲を歌うの」


「凄い、作詞作曲なんて」


「あっ、でもバラードの方は私が作詞したんだ」



私が作詞したって言葉にすると凄いことした感覚になる。最初は嫌々したけど充実感があって思い等も強くなっていった。

はぁ、、人前で歌うの緊張するよ。詞と曲の評価が気になってドキドキする。今、やっとごんちゃんのやる気と力の入れ方が違うの分かってきた。自分が作った曲だから評価が怖いし妥協したくないよね。

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