第68話
久しぶりの授業は淡々と過ぎていく。昨日もあんまり眠れなかった。お陰で授業中に眠気が来て、危うく机に頭をぶつけそうになる。
芽衣とごんちゃんとお昼ご飯を食べた後、眠気が限界で机に頭を付け目を瞑る。眠りに入ろうとしているなか、昨日の帰り道の出来事を思い出した。
特に何かがあったわけじゃない、普通に話して帰っただけだから当たり前に何もないけど、私と芽衣は付き合ってる感が全然ない。
ただの友達で…友達の時よりスキンシップが減ったぐらいだ。虚しい、いつ芽衣に振られるかずっと不安で毎日が楽しくない。
「水希、授業が始まるよ」
「うぅん…分かった」
少しだけ眠れたから頭がスッキリした。今日は5限だから後1時間授業を受ければ部活に・・・今日は生徒会だった。
はぁ、、とため息が出る。思いっきり走れると思ったのに残念だ。
「あっ、芽衣。今日、生徒会だから部活終わったら先に帰ってね」
「そんなに遅いの?」
「うん、今日は長引くってお姉ちゃんに宣言されてる」
「教室で待ってるよ」
「ダメだよ、何時に終わるか分からないし先に帰って。私が気になるし」
「分かった…」
2時間ぐらいで終わればいいけど、多分お姉ちゃんが宣言するぐらいだから長いと思う。
外が暗くなる前に帰れたらいいけど、久しぶりの生徒会の集まりだから話すことが多そうだ。今日は先が長い。授業が終わってHRが終わっても部活にも行けないし、私の中のモヤモヤが溜まっていく。
「水希、バイバイ〜」
「ごんちゃん、バイバイ」
HRが終わり、部活に行くごんちゃんと手を振り合ったあと生徒会に行く準備をする。
一度、自販機に飲み物を買いに行って、できればお菓子が欲しい。体と心の疲れが取れなくて甘い物が欲しかった。
ひかるのお菓子が食べたいよ。私を元気にしてくれるエネルギーを欲している。
「芽衣、バイバイ」
「うん…水希、終わったらLINEして」
「えっ、いいけど待ってちゃダメだからね」
「分かってる」
本当かな…芽衣は頑固なところがあるからこっそり待っていそうで怖い。
今日は本当に遅くなるからこそ、芽衣を1人で待たせるのが嫌だ。
外も暗くなるし、それに待たれると芽衣が気になり生徒会の話に集中出来なくなる。
生徒会の大事な話をしているのに、私は芽衣がちゃんと帰ったか気になり時計ばかり見てしまう。現在の時刻は18時半で部活は17時半までだから芽衣は帰っているはずだ。
帰ってるよね、、もうすぐ終わるから一度教室を見に行こう。もし、芽衣がいたら困る。
「はい、みんなお疲れ様ー」
やっと終わった。体育祭の打ち合わせ以来の長丁場で流石に疲れた。
帰り支度をし、お姉ちゃんに「一緒に帰る?」って言われたけど、一度教室に寄ると伝え小走りで向かう。
良かった、教室は暗い。芽衣はちゃんと帰ったみたいだ。これで安心して帰れると思い、歩きながら芽衣にLINEを送っていると靴箱で音が聞こえ顔を上げた。
「芽衣…帰ったんじゃ」
「ごめん、待ってた…」
「遅くなるって言ったじゃん」
「分かってるけど、、」
「はぁ、、」
つい、ため息が出がしまった。部活の後は体がキツいのに芽衣が靴箱でずっと立っていたことが嫌で自分自身に腹が立つ。私は芽衣に早く家に帰って体を休めて欲しかった。
「ごめんね…」
「えっ…芽衣、泣かないで」
「帰る」
「待って!送るよ」
「いい!1人で帰る!」
「危ないから…」
芽衣が泣きながら1人で帰ろうとする。慌てて腕を掴むと、芽衣が悲しそうな顔をし私を見つめてくる。
見たくなかった表情に胸が痛み、反省する。芽衣がこんなに好きなのに、悲しい顔ばかりさせてしまう。
「芽衣、ごめん。言いすぎた」
「違う…私が不安で、、」
久しぶりに芽衣を抱きしめ、大好きな匂いを感じてやっと心と体が満たされていく。
ずっと触れるのに我慢していたから私まで涙が出てくるよ。好きな人に触れられないのがめちゃくちゃ辛かった。
「水希…好きなの、、別れたくないよ」
「えっ、何で別れるの?」
「だって…私といてもいつも眠そうで」
「あれは、寝不足で…」
「ずっと手も繋いでないし…」
「芽衣が嫌がるから…」
「あれは!ドキドキが凄くて…耐えられなかった」
ドキドキが凄い?芽衣は緊張的なもので私と手を繋げなかったってことなの?
友達の時は普通に繋いでいたのに、関係が変わりドキドキして繋げなかった。
「芽衣、もう我慢しなくてもいいの?」
「いいよ…」
「じゃ、手を繋いでいい?」
「うん」
「ハグしてもいい?」
「うん」
「キスしてもいい?」
「・・・うん///」
了解を得られたから今日から沢山手を繋いでハグしてキスをしよう。もう我慢はしない。我慢なんて出来ない。
芽衣を強く抱きしめ、久しぶりにキスをした。回数で言うと4度目のキスだけど、気分的には2度目のキスみたいな感覚。
「幸せー」
「うん」
「芽衣。今度、お泊まりしようね」
「うん…」
「急に暗くなった…」
「違う!あの、意識しちゃって…」
「何を?」
芽衣の顔が赤い。恥ずかしそうに顔を私の胸元に埋めギュッと抱きついてくる。
小声で「私、エッチなのかな…」って言うからやっと意味が分かって私まで全身から汗が出そうになるぐらいドキドキしてきた。
芽衣はキスより先のことを意識してしまい、緊張して私と距離をとっていた。
いつかとは思っているけど、まだ付き合って2週間だし私としてはゆっくり進みたくてキスより先に進もうとは思っていなかった。
それにちゃんと調べたい。芽衣が痛いの嫌だから、頭の中で何度もシュミレーションしてからって思っていた。
そっか、、嬉しいけど私も頑張らないと。些細なすれ違いで、また芽衣を泣かせてしまった。もう泣かさないって決めたのに。
「芽衣、安心して。ゆっくり進もう」
「うん」
きっと芽衣は恋愛経験があるから、先のことを考えてしまうのかもしれない。私は、未経験すぎて全てが手探りだ。
やっと絡まった糸が解けた。私達の考えはいつも交差し引っかかる。
いつも芽衣は私より先を行く。お姉ちゃんの言う通り芽衣は私より大人だ。置いていかれないようにしないと子供のままは嫌だ。
とりあえず、沢山キスして芽衣に愛情を伝えよう。後ろに下がっても今度は逃がさない。
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