第48話
よしよし、足が順調に動いている。グラウンドを思いっきり走っても痛みはなく、残り少ない夏休みを私は部活漬けの日々で過ごしている。
快調、快調。思いっきり走れるって幸せだ。
芽衣のおかげで夏休みの宿題は全部終わったし、夏休み期間中また芽衣とどこかに行きたいなって考えてるけどどこがいいかな。
もうすぐ部活もお盆休みでしばらくは休みだから、芽衣がお婆ちゃんの家から帰ってきたら・・やばっ!15日はひかるの誕生日だ。
危ない、危ない。部活が終わったあと遊ぶ約束をしてたのを忘れていた…ひかるとそろそろ予定を立てないと、、どこに行こう。
お洒落なカフェでケーキを食べて、街をぶらぶらして…それから、、うん、ひかるに行きたい所を聞いた方が良さそうだ。
そうだ!海!夏だから海に行きたかったのにまだ行けてない。モヤモヤした悩みと足を怪我したせいで忘れていた。
お盆休み中に芽衣と海に行きたい。そして、沢山泳ぎたい。芽衣はどんな水着を着るんだろう…やっぱりお胸があるからビキニとか?
私は…水着の上にTシャツを着て泳ごう。うん、その方が賢明だ。
「芽衣ー。お盆休み中、海に行こう」
「うん、行きたい!」
「よし、予定立てないとね」
最近、やっとで芽衣を見ても泣きそうにならなくなった。どうしても唇を見てしまうことがあるけど、その時は芽衣に気づかれないように目線を逸らしている。
キスを意識しないようにしたいけど、仕方がないことだと諦めた。だって、ファーストキスだったから意識するのは当然だし。
「水着を買わなきゃ」
「私は去年の水着でいいや」
「水希…ちょっと」
「何ですか、恭子先輩?」
「海、私も行くー!」
首に腕を回されぐるしい…。別に一緒に行くのはいいとして、何で首ばかり絞めるの!苦しいよ、、力を緩めて欲しい。
「みんなで行こうよー」
「別にいいですけど、首は絞めないで下さい!」
「愛情表現だよー」
「そんな愛情表現いらないです!」
恭子先輩のコミュニケーションは乱暴すぎる。もっと、普通に接して欲しい。おかげで首がずっと痛いし。
恭子先輩が一緒に行くことになって、続々と海に行くメンバーが増えていく。
さわちん、ひかる、恭子先輩、芽衣、私…お姉ちゃん!!!おかしいだろ、何でお姉ちゃんまで来るの!
さっきから、何かコソコソと恭子先輩とお姉ちゃんが話してるし…怖い、何か企んでいる気がする。
せっかく、芽衣との夏の思い出を作るつもりなんだから邪魔だけはして欲しくない。
私を海に落とす計画とか、私を砂浜に埋めてスイカ割りしそうで怖いよ。
「水希。セクシーな水着、楽しみにしてね」
「えー…」
「こら!そこは喜びなさいよ」
流石に恭子先輩の水着姿は興味ない。だって、朝一にヘッドロック掛けてくる先輩だ。色気もへったくれもないよ。
お胸は芽衣並みに大きいけど…。私のお胸、早く途上してほしい。発展が止まりすぎだ。
それに、女の子の水着姿を喜ぶ女子がいたら変だ。それって、、まるで女の子が好きみたいだし。
芽衣の水着姿を見たいと思ったけど、どんな水着を着るのかなって思っただけだし。
女の子しかいない女子校で過ごしていると少しズレた感覚になり、男子がいないからかな…女の子に対して心がモゾモゾする。
私が勝手に意識してるだけなのかもしれないけど、過剰意識ってやつを。
この学校は可愛い子が多い。芽衣でしょ、ひかるでしょ、それに恭子先輩…我が姉、、自分の姉ながらムカつくぐらい綺麗で私は本当に妹なのかって思う時がある。
「水希、ナンパとかしちゃダメよ」
「お姉ちゃん!ナンパなんてしないよ」
「ホイホイと声掛けちゃダメだからね!」
「だから、お姉ちゃん!私を何だと思っているの!
「水希は天然のタラシだから危ないのよ」
さっきからお姉ちゃんは何を言ってるの。天然のタワシって意味分かんないし、それにナンパなんてするはずない。
男の人にナンパをするってことは逆ナンってことでしょ、無理に決まってる。
そんな行動力があったら彼氏ができてる。
あれ?何だろう…目線が痛い。芽衣やさわちん・恭子先輩の目線が痛くて日焼けしたみたいに肌がヒリヒリする。
もしかして、目から光線でも出してるの?特に恭子先輩はレーザービームでも出してるんじゃないかというぐらい目つきがヤバく私は黒こげになりそうだ。
「自覚症状がないやつほどタチが悪いよね」
「さわちん!酷い!」
「昔は純粋な子だったのに」
「お姉ちゃん、何言ってるの。今も純粋じゃん」
「はぁ…」
「何で、芽衣も溜息ついたの?」
「知らない(プイッ)」
私、酷い扱いを受けいるよね。誰ともお付き合いしたことのない私が天然のタワシって意味が分からない。
みんなに呆れ顔されるし、私の味方はひかるだけだ。ひかるを見ると優しく微笑んでくれた…良い子だ、可愛いよ。
それに比べて、さわちんは相変わらずムスッとして…私、何かしたかな。出会った時のクールなさわちんはどこに行ったの。
最近、感情が表にだだ漏れすぎてる。芽衣からはまたプイッと顔を背けられたし、寂しいし悲しい。
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