第42話
真っ昼間に家でゴロゴロするって幸せだけど、暇だ、暇だな。今の時間だったら、陸上部はお昼休憩の時間だよね。
芽衣は今日から部活に出てるみたいだけど無理してないといいな。今日は炎天下だから心配になる。また倒れてなければいいけど。
早く、部活に行きたい。あと、ひかるの誕生日の為にバイト先も探さなきゃいけない。
朝からずっとベッドの上でゴロゴロしながら携帯でバイトを探したけどピンとくるものがなかった。早くバイト先を決めないとひかるの誕生日が来てしまう。
最低でも5000円は稼ぎたいし、プレゼント代とお出掛け代…私のお財布は万年金欠だよ。
芽衣の時は2万円近く使ったから、今回は少し抑え気味でいいよね。流石に引かれる金額だと気づけたし。
そう言えば、ひかるの好きな人って誰だろう。中学時代からの好きな人かな?それとも高校生になって知り合った人?
片思いって言っていたけど、ひかるだったら両思いになれるよ。だって、可愛いしあんなに可愛い子を振る人なんていない。
芽衣からLINEが来た。今日、部活が終わったらお見舞いに行くねって。
急いでパジャマから洋服に着替えないと。ずっとベッドの上でゴロゴロしていたから、洋服に着替えてなかった。
私は着替えた後、冷蔵庫の中を確かめる。炎天下の中、私の家まで来てくれる芽衣に冷たい飲み物を飲んで欲しかった。
良かった、ジュースがあった。昨日、お母さんが買ってきてくれたみたいだ。これで安心して芽衣が来るのを待つことができる。
最近、芽衣と1日会えないだけで寂しい。自分がこんなに寂しがり屋だと知らなかった。
高校を卒業して芽衣と違う進路を選んだとき離れ離れになるのかな。寂しい…進路は違ってもせめて一緒に暮らせたらいいのに。
芽衣が料理担当で私が掃除担当。お互いに丁度いい役割分担で、楽しく暮らせると思う。
大学生になった時に芽衣に彼氏ができたら…って考えると妄想は破綻してしまうけど私の願望だから問題はない。
(ピーポーン)
芽衣がくる予定の時間よりも早くインターホンが押される。でも、まだ14時で…もしかしならあまりの炎天下で部活が早めに終わったのかもしれない。
「はーい。今、開けるね…えっ、さわちん?」
「少しだけいい?」
「うん、、」
どうしてさわちんが?今の時間はさわちんも部活をしている時間のはずだ。
最近のさわちんは予想もしない行動をしたり考えてることが分からない時ある。
今日も突然来たし私服だからもしかして部活には行かなかったのかもしれない。
「ジュースでいい?」
「すぐ帰るからいいよ」
「どうしたの?」
「15日はひかるの誕生日って知ってる?」
「知ってるよ」
「えっ、そっか。良かった…」
さわちんがなぜかホッとしている。今日来たのは私に15日がひかるの誕生日ってことを伝えに来たってことなの。
さわちんとひかるって本当、仲良いいよね。クールなさわちんがひかるの事になると熱くなったりする。
ひかるって守りたくなるタイプだからかな。芽衣と少しタイプが似てて儚げさがある。
花で例えるとマリーゴールドで、芽衣はマーガレットで…私はなんだろう?大きいから向日葵でいっか。
「2人で遊ぶよね?」
「うん」
「水希、芽衣のこと好き?」
「えっ、うん」
「ひかるのことは?」
「好きだよ」
急にどうしたの?いきなり好きかって聞かれて恥ずかしい。2人のこと好きに決まってる…大事な友達だ。
さわちんが何を聞きたかったのか分からない。お陰で質問の意味が分からなくて違う意味でドキドキしてしまった。
「じゃ、帰るね」
「うん…」
急に来たかと思ったら、あっという間にさわちんが帰っていく。
あっ…しまった。さわちんに質問があったんだ!聞かないと!
「さわちん!待って」
「何?」
「ひかるの好み教えて」
「プレゼントで悩んでいるの?」
「うん」
「何でも喜ぶよ。出来れば、ネックレスとかあげると更に喜ぶと思うけど芽衣が付けてるからな…」
「あんまりお金がないから高い物はあげれないかな」
「だったら、水希の私物のアクセサリーあげたら喜ぶよ」
「私の?」
私が使っていた物なんてひかるは喜ばないよ。だって、私のお古だし。
私としては少々安くても絶対に新しい物をひかるにプレゼントしたい。
「ちゃんとアドバイスしてよ」
「してるよ」
「してないじゃん」
「だから、言ったでしょ。私物のアクセサリーを贈ったらって」
「本気で言っているの?」
さわちんが真面目な顔をしたまま頷くから、了解するしかなかった。
私の私物のアクセサリーって…一番高かった物をあげるにしても3000円ぐらいだし、本当にいいのかな。
去年買ったシルバーのブレスレットが一番綺麗で高いから(3000円だけど!)磨いてプレゼント用にするかしない。
プレゼント代が無くなった代わりにひかるとお出掛けをしよう。せめて、これぐらいはひかるのためにしたい。
お母さんにお小遣いの前借りをして少し奮発をして。じゃないと、私のお古のアクセサリーをあげることに流石に気が引けてしまう。
芽衣の誕生日プレゼントが16500円だよ…差がありすぎる。
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