第37話
心臓の鼓動が芽衣に伝わってないといいな。
恥ずかしい、恥ずかしいよ!我に帰った私は後悔していた。
同意のないキスは最低のキスなのに…私は芽衣に身勝手なキスをした。
芽衣の私の服を握る力が強い。ギュッと握りしめ、私のせいでまた体温を上昇させた。
どうしたらいいの、、これで私に風邪が移らなかったら意味ない。身勝手な最低なキスをしただけだ。
「芽衣…あの、、風邪を移すためで」
「うん…」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
「水希、謝らないで」
「でも…」
もういっその事、私の頬を叩いて欲しい。何発でもいい、思いっきり殴って罵って欲しい…それくらい、私は最低なことをした。
友達にキスをされるなんて気持ち悪いよね、、吐きそうだよね。私はどうやって芽衣に償えばいい?許してもらえる?
「水希の優しさだって分かってる」
「ごめんなさい…」
「落ち込まないで」
「うん…」
芽衣は優しすぎる…私のこと怒らないで慰めてくれる。怒っていいのに、叩いていいのに、簡単に許されるから苦しいよ。
芽衣の優しさが苦しい。私は芽衣の優しさに甘えている。何で、抑えられなかったんだ…芽衣を失うかもしれないのに。
強くなりたい。芽衣を守れるように、芽衣を失わなくて済むように。
煩悩108個、全部捨ててやる!恋なんて封印だ。私は恋に憧れるのは辞めた。恋なんてしたいと思ったから私はおかしくなったんだ。
「嬉しかったから…」
私にはこの言葉が聞こえてなかった。思考が暴走モードに入り、煩悩ー!恋ー!など必死にこうなった原因の物を無くすにはどうしたらいいか考えていた。
この言葉が聞こえていたらよかったのに…暴走モードに入った私は次の日、練習中に足の怪我をする。
無理なトレーニングのせいで、足を怪我して今現在最高潮に落ち込んでいる。
芽衣が休みで良かった、、こんな情けない姿を見られたくない。
「水希、バカね。練習やりすぎて足の怪我をするなんて」
「恭子先輩…最悪です」
「しばらく部活は出来ないわね」
「そんな…」
「自宅療養しなさい」
体を動かしていたいのに、自宅療養なんて最悪じゃん。私の馬鹿、馬鹿、馬鹿!
怪我までして、みんなを心配させて本当に大馬鹿だ。もっと走って煩悩を捨て去りたいのに、煩悩から逃げられない。
「水希、帰ろう。送るよ」
「ひかる、ごめん…」
「無理しすぎだよ」
「うん、、」
ひかるの肩を借り、ゆっくり歩いていく。軽く捻っただけだから治りは早いと思うけど、無理なトレーニングをして怪我をしたことが許せない。悔しい、悔しいよ。
「今日どうしたの?」
「えっ?」
「ずっと考え込んでいたから」
「別に…」
「そっか」
ひかるにまで心配させるなんて最悪だ。昨日の芽衣とのキスが頭から離れなくて、芽衣に嫌われるんじゃないかと不安が拭えない。
なんであんな事をって、、時間を戻せればいいのに。昨日の自分を殴りたい。
「明日、遊びに行けないね」
「あっ、ごめん…」
しまった。明日、ひかるとさわちんと3人で遊ぶ約束してたんだ。でも、この足じゃ歩けないし恭子先輩に自宅療養命じられてる。
どうしよう、初めて遊ぶって事でどこに行くとか3人で決めたのに。またみんなに迷惑をかけてる。
「明日、水希の家に行っていい?」
「私の家?」
「うん、家で遊ぼうよ。お菓子作っていくから」
「それでいいの?」
「うん」
「じゃ、さわちんにもLINEしなきゃね」
家で遊ぶってなったら、ゲームしかないけどいいかな?それか漫画本か、うーん…あとは何があるかな?
「あっ、着いた。ひかる、ありがとう」
「明日、チョコレートのお菓子作っていくね」
「楽しみに待ってる。でも、無理はしないでね」
「大丈夫、水希に食べて貰えるだけで嬉しいの」
ひかるって将来パティシエとか向いてそう。作ってくれるお菓子は全部美味しいし、見た目も綺麗でいつも感心する。
これが女子力の高さなのかなって、私には作れないから羨ましい。
そうだ!ひかるに早くお礼しなきゃ…何がいいかな。何かプレゼントしたいけど、芽衣の誕生日プレゼントでお金が底をついてて次のお小遣いの日が来なきゃ何も買えない。
はぁ…バイトをしたい。でも夏休みは部活で潰れるし、するとしたら日曜日で…うーん、唯一の休息日だし悩む。
手っ取り早く稼げるバイトがしたいよ。
「ひかる、バイバイ」
「水希、ちゃんと安静にしてね」
「うん」
ひかるが心配そうな顔をするからなかなか家に入れない。軽く捻っただけだから3日もしたら治ると思うけど、包帯を巻いているから気になるのかな。
どうしよう、ひかるを安心させたいけど何も思いつかないや。
「ひかる、大丈夫だから」
「ごめんね…」
「心配性め」
ひかるも優しすぎる。陸上部のメンバーが怪我をする度にこんなに心配してたら体が持たないよ。
でも、気を付けないと…怪我は運動部の宿命だけど、今回の怪我は確実に私のせいで気をつけていたら怪我なんてしなかった。
ずっと、芽衣とのキスが忘れられない。一瞬だったけど、唇の柔らかさを感じた。
ミルマロの甘さを思い描くキスで、もっと感じていたいと言う感情を私に植え付けた。
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