第14話
これは女子校特有のものなのだろうか。部活が終わり片付けをしている時、同じ1年生の女の子に話しかけられた。
いきなり、高瀬さんって名前を呼ばれお菓子を貰う。甘い物はすぐにエネルギーになるからって…お菓子を貰うのは嬉しいけど、一度も話したことない子でクラスも違う。
何で一度も話したことのない私にお菓子をくれるのかなと考えたけど、部活対抗リレーを頑張ったからしか思い浮かばない。
でも、それだけでお菓子を貰えるって不思議な感じだ。でも、お姉ちゃんが去年のバレンタインの時にチョコレートを沢山貰っていたから一緒なのかもしれない。
女子校特有のイベント的なもの。だから、素直に受け取ることにした。
「ありがとう〜」
「部活、頑張ってね///」
「うん」
「それじゃ」
美味しそうなお菓子を貰い嬉しい。私は甘い物が大好きで体育祭頑張って良かったと改めて思えた。
私はるんるん気分で片付けを終わらせ、部室に行くと芽衣が丁度着替えていた。
芽衣のお胸、、発育がいい。何で、私のお胸は発展途上のはずなのに止まってるの。これから成長期で伸びるはずなのに。
「水希、お菓子どうしたの?」
「さっき、同じ1年の子に貰った」
「陸上部のメンバーに?」
「知らない子」
お菓子を鞄の中に入れ私も着替え始める。早くお菓子が食べたいし、飲み物も買いたい。
久しぶりに部活でガッツリ走ったから疲れもあり、早くお菓子でエネルギーをチャージしたかった。
「あっ、芽衣ジュース!」
「奢るの今日がいいの?」
「うん。お菓子を一緒に食べよう」
「遠慮しとく…」
「何で?」
「作った人が可哀想だよ」
芽衣の表情が突然暗くなる。何で可哀想なのと考えたけど分からず捨てるわけじゃないのにと思ったけど芽衣が拒み嫌がる。
貰ったお菓子は手作りみたいで手が込んでて美味しそうなのに残念。
芽衣がいるのに1人で食べるわけにもいかず、家に帰って食べることにした。それに、芽衣が早く帰りたそうにしてる。
バスを待っている間、芽衣の口数がいつもより少ない。何かを考え込んでいるみたいで、沈黙が続き会話が成り立たない。
悩み事でもあるのだろうか。顔の表情がずっと暗く、一度も私を見てくれない。
結局、バスに乗った後も会話が無く芽衣がバスから降りるまで沈黙が続いた。こんなこと初めてでめちゃくちゃ寂しい。
◇
期末試験が恨めしい。何でこんなに範囲が広いのと文句を言いたい。
まぐれで受かった偏差値の高い高校のテストが難しすぎる。それに、もし赤点なんて取ろうものなら恐ろしいことになる。
鬼軍曹のお姉ちゃんは私と違って頭が良く、容姿端麗で私とは真逆なのだ。
「芽衣…赤点取りたくないよ」
「じゃ、勉強したら」
「突き放さないで、夜は部活の疲れで眠たくなるの」
「日曜日に勉強したらいいじゃん」
「1人じゃ無理、遊んじゃう」
「私にどうして欲しいの?」
「一緒に勉強しよ」
芽衣は中間試験で良い点数を取っていた。芽衣も部活で疲れているはずなのに、、家で勉強しているのか、それとも元々の頭の良さの違いかもしれないけど。
「いいけど、勉強間に合うかな?来週だよ、期末試験」
「だから、土曜日からお泊まりして勉強会!」
「水希の家で?」
「芽衣の家でもいいよ。行ったことないし」
「じゃ、私の家で…丁度、親が親戚の結婚式で泊まりで帰って来ないから」
「うん!」
芽衣と友達になって初めて芽衣の家に行く。最近、芽衣との間に距離感を感じて寂しかったから嬉しい。
体育祭が終わって、なぜか芽衣が少し離れた所から私を見る時があって…もっと近くにいて欲しいのに距離を感じていた。
それに芽衣が私に甘えてくれない。一定の距離を取られずっと寂しかった。
「芽衣、一緒にお風呂に入ろうね」
「馬鹿じゃないの///!」
「何でよー」
「高校生にもなって一緒にとかありえない」
「ケチー」
「恥ずかしいし…」
私は友達とお風呂に入ることが一切気にしないタイプで恥ずかしいとか考えたことなかった。芽衣に恥ずかしいと言われ反省する。
確かに高校生にもなって友達と一緒にお風呂なんて子供っぽいよねと考えを改めた。
早く土曜日になってほしい。芽衣とのお泊まりに胸が高鳴りワクワクして待ち遠しい。
「水希、夕ご飯は私が作るね」
「いいの?」
「うん、料理好きだし」
「マジで!やったー、芽衣の手料理楽しみ」
「期待はしないでね」
「余計に楽しみになった」
「だから!期待しないでよ…」
芽衣のお弁当いつも美味しそうで、お弁当はお母さんが作っていると思うけど芽衣に料理の上手さは受け継がれていると思う。
土曜日はお腹を空かして芽衣の家に行かないといけない。後は、行く途中にお菓子でも買って夜に食べる夜食ならぬ夜菓子をしたい。最近沈んでいた気持ちがやっとワクワクし、芽衣と笑い合えた。
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