第30話 孤軍奮闘
「やっぱり絡繰兵ね!」
村へと急ぐ途中に絡繰兵が現われた。周辺をうろついている青い肌を持つ個体ではない。より粗末な骨だらけといった印象だ。
「クソッ、馬に乗ったままじゃ戦えねェぞ!」
アイシャが叫ぶ、骨絡繰兵は奇妙な形をした拳銃を構えるのだが。
「あなた、奴の前に走って近づいて!」
「!」
京が叫ぶと馬が承知とでもいう風に鳴き、骨の絡繰兵との距離を詰める。
「
なんと京は馬に乗りながら蹴りを絡繰兵に埋め、突き飛ばす、脆いのか一撃だ。
「邪魔すんなってのッ!」
「!!」
走りながら無骨な剣を振り回す骨絡繰兵の腕をカチ上げ、空いた脇に
「……」
馬上戦闘をこなす京を見てアイシャは驚きで声が出ない。
「さ、邪魔者は蹴散らしたし。急ぐわよ! 行って!」
「!!」
京が馬に檄を飛ばすと、馬はそれに応えるように速度を上げる。
「ハァァッ!」
村の集会場の前で無骨な鎧姿の男が一人で応戦していた。
得物は赤く光る剣で、群がる骨の絡繰兵をなますに斬り捨てていた。周囲には骨だらけの絡繰兵の残骸が散乱していや。どうやら青いモノや紅機と違い自爆はしないらしい。
「ぐッ……」
傍には怪我をしたらしい軍服の男が横になっており、同じく軍服の女の治療を受けている様子だった。
「
「幸い、命に別条はありませんが……」
凛が答える。頼の状態は悪くはないが、戦闘に復帰できるほどではないというわけだ。
「わかった。増援は、どうだ?」
「村の者が半鐘を鳴らしてはくれましたが、増援は……厳しいかと」
凛の顔が険しくなる。
「
頼のがいうには正規軍とは毛色が違う部隊のようだ。それを聞いた男――陣はフッと笑う。
「そうか。ならば覚悟は決まった。民のため、帝のため、絡繰どもを全て地獄に送ってやろう!」
男は剣を振りかぶり、襲ってきた骨絡繰兵を斬り裂いた。
「……お願いします、陣隊長」
「任せてくれ。敵は無尽蔵ではないはずだからな」
凛の頼みに陣は力強く頷き、剣を構えるのだが。
「ヒヒーンッ!」
「なんだ、馬だと……?」
突然、馬の嘶きと蹄音が聞こえた。
「
「なるほどな、馬上戦闘のコツは掴んだぜ!」
見ると馬に乗った少女二人が骨絡繰兵を蹴散らしている。
京とアイシャだ。
「なに、軍ではないと……?」
頼は驚愕していた。少女二人が馬に乗りながら骨絡繰兵の集団を蹴散らしているのだから。
――極陽拳の少女老師である京が弟子を伴って都に向かっている、もし出会ったのなら協力してやってほしい。
陣が思い出すのは自らが信頼する男から聞いた話だ。
「私は調査部隊の隊長である陣! 老師殿、助力を請う!」
だが、今は助太刀を頼む立場になったが。
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