首なしの病
三題噺 「新社長」「首なし」「病室」
病室のベッドの上で俺は困惑していた。
なぜなら、首から上がないからだ。首なしになっていたのだ。
俺が新社長に就任したのは昨日の事だ。その就任パーティでお酒を飲んでから記憶がない。目覚めたらこの有様だ。
俺は頭を抱えた。おっと視界がパジャマだけになってしまった。慣れないものの、ゆっくりと目を首の方へと向ける。
ううん、何度見ても首なしだ。
その時、ガラガラと病室のドアがスライドした音がした。横目で見ると、看護師の姿。まずい!
「あら!また首を持っちゃって!くっつけておいてくださいって言いましたよね!?」
「いや、あれだ、その、なんか、見たいじゃないか」
「もー、そんな事するからくしゃみ程度で取れちゃうんですよ!?何度目ですかまったく、もう!!」
う……おっしゃる通り……しかしもう癖になってしまってるからなあ。
まあこういう人のためのネックギプスで会社は大儲けして新社長にまでなれたんだからいいか。
しかし、早く仕事に戻らなくてはならないしな。ここは言うことを聞いておこう。
俺は深く頷いた……つもりになって(頷くための首はない)、厳かに自分の首を肩の上に乗せた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます