アイドルは誰??

あすか

第1話 運命を変える出会い

テレビを見ると

ローカル局の音楽番組がやっている

俺は、家に帰ってきたのが、その番組が終わる10分前だった

好きなアイドルはいないけど、ご飯のお供に聞いていた


もう次の曲で最後かぁと思っていると、テレビの中のアナウンサーが

声高らかに叫ぶ。


「それでは大鳥はこの方、突如現れた、期待の新星、「「大空 優」」~」


次の瞬間、テレビのスタジオが真っ暗に変わり

観客のワー、ワーという声が響いている。


雑音がうるさいなぁと思っていると、スタジオが虹色に光り、途端に

うるさかった雑音が一気に静になり、音楽が流れ出した


いつの間にか、番組が終わっていた。


俺は、その歌手「大空 優」の 整ったかわいい顔

透き通った声。その声を最大限生かした歌、スタイルの良さ

に目が釘付けにされ、その歌手がステージの端に消えていくまで、

テレビなのに夢中になって見ていた。


この時から俺は、大空 優のファンになってしまった


次の日

俺は、昨日の事を友達に伝えていた


「いやー、本当に昨日のは良かったなぁ!良も今度聞いてみろよな!」


「武瑠くんが、アイドルの事を話すなんて初めてだよねぇ!

だって武瑠くんってあんまり歌とかアイドルとか興味ないのにね」


友達の良は楽しそうににこにこと話を聞いてくれる。


「そうなんだよな!俺もまさかこんなにも、一目惚れっていうか

ファンになるなんてなぁ。」


「うん、わかったよ。武瑠くんがそこまでいうなら聞いてみるね」


「おう、本当にオススメだよ」


ガラ~。


俺が意気揚々と良に優の良さを普及していると、チャイムが鳴り響き

担任が教室へと入ってくる。


俺はまだ話したりなかったが一旦、良の席から自分の席へと戻った。



放課後


武瑠は先生の終わりの合図とともに教室を飛び出した。


「早く家に帰って優の歌をもう一回聞こっと」


そうして優の歌詞を頭で流しながら、走っていたからだろう。

階段を下りようと角を曲がった時、誰かにぶつかって、お互いに飛ばされる。

運が良かったのか、ぶつかった方は階段から落ちることなく、尻餅をついていた


「あ、おい、大丈夫か?」


俺は心配しながら声をかけた。


そのぶつかった人は顔をあげると、満面の笑みを浮かべた。そして


「うん!僕は大丈夫だよ~。君こそ大丈夫??」



俺は少し戸惑った。


なぜなら、そのぶつかった人は男子の制服を着てはいるが、声は綺麗な女声

顔は男では絶対にないような可愛さで、

それはまるで昨日見た優そっくりだったからだ。


「ゆ、優?」


あまりの驚きと困惑でボソッと呟いてしまう。


彼女?は一瞬焦りのような顔を見せるも、すぐにさっきの表情に戻った。


「あ、それ僕よく言われるんだよね~。なんか似てるらしいよね!僕とその人」


「あ、ああ、そうだよな!!いやぁ、あまりに似てたからさ。ごめんな。」


「あはは、謝らなくてもいいよ~。芸能人と間違えられて僕も幸せだしね」


彼女?は完全に否定していたが、何度見ても同じ人にしか見えなかった。

しかし、これ以上追及したら、嫌がるだろうな。

そう思って俺はその場を立ち去ろうとした。


しかし。


「あのさ、その優さん?の歌って今、持ってる?

僕、似てるってはよく言われるんだけど、まだその人を見たことも

聞いたこともなくって、君がその人の歌を持っているなら聞いてみたいなぁって」


彼女?は思いついたかのようにそんなことを言ってくる。


俺は、一瞬どうしようかと迷ったが、この人が優じゃなかったら、

これをきっかけにファンになってくれたら、優も喜ぶかな。

とあほみたいなことが頭をよぎってしまい、後のことなんて何も考えずに言った。


「今は持ってないけど、家にならあるから、明日持ってくるよ」と。


「あ、それなら少し待ってて、これを先生のところに持って行ったら帰れるから、

君の家で聞かせて~。だからここにいてね」


彼女?は少し考えるようなそぶりを見せたかと思うと、

その言葉だけを残して廊下を走っていった。




俺は唖然とした、


(えっ、何この展開!?あの子、女の子なのに今会ったばかりの

男の家に来るって、普通じゃないよな。いや、でも、それだけ自分に似ている芸能人が気になるのか。いや、そもそもなんで男子制服を着ていたんだ!?)


心の中で問答をしている内に、彼女は?カバンを持ってこっちに戻ってくる



「ごめんね。それじゃあ、行こっか?

あ、そういえばまだ自己紹介してなかったね。

僕の名前は上内 空って言うんだ。よろしくね」


「あ、あ、おう、そうだな。行こうか。あ、俺の名前は葉山武瑠だよ。よろしく」


彼女?の笑みに俺は昨日の優に感じた高揚感をなぜか思い出してしまう。


自己紹介までされてしまった俺はしかたなく、

空を家に連れて行くことにした。

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