4時間目「おもらし実習」
調理実習、職業実習、教育実習、保育実習…
世の中にはいろいろな〇〇実習という単語がある。
やったことはないけど、きいたことぐらいはあった。
しかし、おもらし実習という単語は今まで一度もきいたことはなかった。
いや、そんな単語がこの世にあってよいのか…。
『みんなには、今から「おもらし実習」をしてもらいます。』
先生はとても明るい顔だった。
まるでこれから遠足にでもいくのかと期待させるような表情だった。
しかし、わたしにとっては、これから1枠の生き残りを賭けた
殺し合いを始める宣言をされたような重い表情をさせるものだった。
『ルールは簡単。
これからみんなには、学校内の好きな場所でおもらしをしてもらうわ。
ただし、おもらしをするときはおむつを履いた状態でおもらしをすること。
おむつを脱いで、そこにおしっこをするのは禁止。
まあ、そんなことしてもわたしの目で確認すれば簡単にわかるんだけど…。
だから、おしっこが出ないからって、おむつに水を流し入れても意味はないからね。
学校内の好きな場所といったけど、この3つはNGよ。
1つ目はトイレの中。普段おしっこをする場所だから、おもらしと違ってくるのでダメ。
2つ目はこの教室の中。ここはこの後おもらしを終えた人の待機場所になるから入れません。
3つ目は他の生徒がいる部屋。さすがにいきなり、他人に見られながらのおもらしは難易度が高いからね。
だから、先にだれかがその部屋に入っていた場合は、その部屋に入るのはダメよ。
おもらしをしたら、この教室の入り口まで来てね。
先生がおむつを確認して、ちゃんとおもらししたかをチェックするわ。
クリアしたら、教室に入ってみんなが終わるまで待機。
開始から1時間経ったら終了。
1時間経ったら、チャイムを鳴らすからおもらしできなくても戻ってくること。
1時間以内におもらしができなかった場合、もしくはおもらしをしたのが最後だった場合は、
この後の勉強で赤ちゃん役になってもらう予定だから、よろしくね。
あ、この教室はこの後カーテンを閉めるから、途中で何人クリアしているかは分からないので、
周りのことは気にせずに、自分のペースでおもらしをするといいわね。
それとおもらし実習中の飲食は禁止よ。
水をがぶ飲みしたり、下剤を飲んだりしておもらしするのはちょっと違うからね。
全員がなるべく公平な条件になるように、今日学校に来た時に
全員トイレに行くように言ったでしょ。
先生が全員トイレに行ったのを確認しているから、安心して。
ただ、さすがに出すものがないと何も出てこないだろうから、
この後、一人一本水の入ったペットボトルを配るわね。』
ひとしきり語り終えると先生は全員にペットボトルを配った。
気付いたら、紙テープのおむつの生徒も自分の席に戻っていた。
…これほんとにやるの?
冗談とかじゃなく?
え?みんなはどうするつもりなんだろう…
いやでも、昨日初めて会ったのに、
「ねえ、このあとおもらしする?」なんてききにくすぎる…
しかも、最後まで残っていたあとに何をさせられるのかが全く分からない。
少なくとも、みんなのいる前で平然と下半身裸になるように言う先生だし…
とてつもなく恥ずかしい目に遭わされるのは間違いない。
みんなの顔はものすごいこわばっていた。
何か究極の二択を迫られたような、そんな顔だった。
きっとわたしも似たような顔をしたいたのだろう。
『じゃあ、全員立ってー!
おもらし実習をはじめるわよ!』
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