第6話 彼女の過去

そして翌日、I子から連絡があり会う約束をしたのだ。

学校が終わると、いつも彼女を迎えに行く駐車場に着いた。


『ゴメンネ迷惑かけて!』

既にその場所に到着していた彼女が助手席に乗り込んで来た。

しかし彼女は私にそう言うと、黙り込んでしまったのだ。


『俺に電話してきた相手は元カレなんだ?』

私の問いにしばらく沈黙が続いて、彼女は重い口を開いた。


『高校時代からの同級生で、3年間付き合った人よ』

『私の両親にも挨拶に来て、いずれは結婚を考えたこともあったの』

彼女にとって元カレは凄く大切な人だと理解できた。


『どうしてそんな元カレと別れたの?』

その核心を彼女は言いたくなっかだろうが、私も事実を聞かずには居られなかった。


『実は私が元カレの子供を妊娠して、子宮外妊娠だったから中絶手術になったの』

『でも、子供が大きく成長している段階だったから、破水したことで私の命に危険が及んだの』

それは衝撃の事実だった。

彼女にいつも陰りがあった意味や、今までの行動が分かってきた!

そして、私の初恋のT枝さんのことが脳裏に蘇ってきた。


『今は一か月に一度は病院の検診に出掛けているの』

『その時に元カレとは今でも会っていて、その時にTETSUOのアドレスを見つけたんだね』

私は黙って彼女の話しを全て聞こうと思った。


『中絶するつもりは無かったけど結果はそうなって』

『だから病院の検診には元カレが、罪滅ぼしで今でも付添いに来ることになって』

彼女にはそんな辛い過去があったのだ。

いや、まだ過去と言うほど昔のことでは無いようだった。


『でも、元カレとはキッパリ別れたけど、私のことをずっと待ってると言って』

『何もかも今まで黙ってて・・・本当にゴメンね』

こういう時に大切な人を傷付けない為にはどう言えばいいのだろうか?

愛する彼女へ私が何を言ったら安心するのだろうか?

でも、ここは自分の思ったことを正直に言った。


『過去のことなんて関係ないよ!』

取り合えず私が言える精一杯の言葉を彼女へ伝えた!

すると彼女は張りつめたいた糸が切れたように号泣した。

助手席で泣きじゃくる彼女を見て、私も彼女の境遇を思い・・・




そして頬に熱いのもが流れ落ちた・・・


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