試作型小説擬き『神社の孫』

高丈敏

第1話

『グハハハハ、この世界は吾輩、大怨霊グランド様がいただーー』

 刹那、閃光。

 どっかの出オチキャラのような悪魔面の怨霊は大音量の稲妻と共に空の彼方へ消え去った。


「何だったんでしょう?今の」

「さあね。まあ地球外に追放しといたから大丈夫なんじゃない?」

「流石です蘭くん!伊達にこんな辺境の土地から一歩も外に出ずに15歳まで神社の住職のお手伝いをしながら修行と称して謎パワーの研鑽に励みつつ、通販とネトゲとチャットに没入したクソニート生活を謳歌していただけありますね!」

「なんだろ、全然褒められた気がしない」

「そんな蘭くんに朗報です。なんと、お祖父様から今すぐ荷物を纏めて出ていけとのお達しが……」

「ハァアアアアアアアアアアァァァァァ!」

「す、凄い大音量でしたね。大怨霊だけに……」

「上手くねぇんだよ!」

「お祖父様曰く、社会に出て自立しろとのことです」

「あのクソ爺!一人で神社の管理出来る訳ねーだろうが!それにオレの悠々自適な暮らしが……」

「まあ今までのツケを払う時が来たんですよ。大丈夫です。私も一緒に同行します」

「いや、幽霊のお前が居てもな……」

「一応家事は出来ます。ポルターガイストぽくなりますけど」

「それで誰もオレに寄り付かねーじゃねーか!」

「それも仕方ありません。私はあなたに遣えるよう調整された元・悪霊の従者式神なのですから!」

「余計一緒に行けるか!とりあえず爺に……」

「荷物ならPC以外の大切な物はここに」

「何でだー!ふざけるな!絶対行かねーぞ!」

「そんなわがまま言ってると呪いますよ。さあこれから私達の新たな旅立ちなのです。朝日が私達を応援して下さってます。希望を胸に生きていきましょう」

「お前は既に死んでるだろーが!その気持ち悪い顔をこっちに近づけるな!放せ!金縛りとかやめろ、誰かタスケーー」


 こうして神社生まれの特殊な男の子蘭とオカマな元ヤン式神(強面)の社会復帰への道が始まると……いいな。


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試作型小説擬き『神社の孫』 高丈敏 @hiro-5001

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